ひきだ理容院物語22|ハイテク

ひきだ理容院物語22 ひきだ理容院
ひきだ理容院物語22
はじめに(ひきだ理容院)

この物語は、広島市南区東本浦にある、ひきだ理容院で、散髪中に聞いた話しをモチーフにしています。

登場人物紹介

タダシです。そろそろ散髪してきます!

ひきだ理容院の店主疋田です

ある日の午後。南区の理容院は、いつものようにゆったりとした空気が流れていた。店主はヨレヨレタオルを畳みながら、「今日は風が強いのう」とつぶやいていた。そこへ、常連の短髪男(タダシさん)が店の前を通りかかった。

理容院の店主を案じる常連のタダシさん

(そういえば、ブログのこと、店主さん、読んだんじゃろうか)

ガラケーしか持っていない店主が、

どうやってブログを見るのかは謎だが、

気になって仕方がない。

店主、なぜか上機嫌

タダシさんが店に入ると、

店主が珍しくニヤニヤしていた。

「おう、来たんか」

その顔が、いつもよりほんの少しだけ柔らかい。

短髪のタダシさんは思った。

(これは、何かあったな)

店主はタオルを肩にかけながら言った。

「なんかのう、最近、うちの店のことを知っとる人が増えた気がするんよ」

タダシさんはドキッとした。

(まさか、あの空想で書いたホームページの小話しの効果!?)

店主、謎の情報源を明かす

タダシさんは恐る恐る、聞いた。

「店主さん。ホームページ、ご自分で見られました?」

店主は首をかしげた。

「ホームページ?なんのことじゃ」

(あれ?見てない?)

しかし、店主は続けた。

「でもの、昨日来た兄ちゃんが言うとったんよ。

あのホームページ、店主さんのことよう書いとるって」

タダシさんは固まった。

(誰だ?その兄ちゃんって!)

店主はさらに言った。

「わしはガラケーじゃけえ見れんけどの。

なんか知らんけど、ええこと書いてあるらしいのう」

その言い方が妙に誇らしげだった。

店主、ブログを想像で読む

店主は、椅子の上の洗濯物を整えながら言った。

「たぶんの、わしがイケメンに写っとるんじゃろ」

タダシさんは吹き出しそうになった。

「写真、載せてないですよ」

店主は一瞬固まった。

「なんで載せんのん?」

「いや、店主さん、写真は嫌がるかなと思って」

店主は腕を組んで考え込んだ。

「ふむ。まあ、わしは実物のほうがええけえの」

タダシさんは心の中でつぶやいた。

(いや、写真でも実物でも、店主さんは店主さんです)

そして、店主の謎の結論

店主は、バリカンを片付けながら言った。

「まあ、ええわい。

ホームページがあるんじゃったら、

そのうち誰かがわしに読ませてくれるじゃろ」

タダシさんは思わず笑ってしまった。

(たぶん、誰も読ませてくれないと思うけど)

しかし店主は満足そうだった。

「わしはガラケーで十分じゃ。

あんたが好きにしとるなら、それでええ」

その言葉は、

いつもの「ええよ、ええよ」よりも、

少しだけ温かかった。

そして店主は今も言う

「ホームページ?わしは中身、読んどらんけど、

なんか知らんけど、ええらしいのう」

南区の小さな理容院には、

今日もそんな、読んだのか読んでないのかよくわからない奇跡が

静かに積み重なっている。

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