迷ってもいい

人は誰でも迷う。
泣く夜もある。
立ち止まる日もある。

でも——
その弱さを抱えたまま進むことこそ、
本当の強さだとミクは知った。

誰かに支えられても、
誰かを助ける日があっても、
最後に未来を選ぶのは、いつだってミク自身。

迷ってもいい

第37話 ミクが選ぶ人生、タダシが支える人生

工房の朝。木の香りはいつもと同じなのに、タダシの胸の奥では、今日が迷ってもいいといえる最終の週になるだろうと思われた。ミクは、作業台の前で木片を並べていた。その背中は、以前よりも少しだけ強く、そして少しだけ柔らかく見えた。仙台の光のトンネル...
迷ってもいい

第36話 タダシが自分の気持ちをそっと返した日

仙台の光のトンネルで心が揺れたその後。タダシは、胸の奥にまだ残る温度を抱えながら、いつものようにサンタ第2工房へ向かっていた。工房の扉を開けると、木の香りがふわりと広がり、ミクは作業台の前で木片を並べていた。その姿は、昨日とはまったく違う日...
迷ってもいい

第35話 守ってあげたい大切な人

光のページェントから戻った翌日。工房の空気はいつもと同じはずなのに、タダシの胸の奥だけは、昨日とはまったく違う温度を抱えていた。ミクは、作業台の前で木片を並べていた。その背中は細くて、静かで、どこか守りたくなるような弱さをまとっていた。タダ...
迷ってもいい

第34話 群馬の家族と仙台のミク

光のページェントから帰った翌日。タダシは、サンタ第二工房へ向かう足取りがいつもより少しだけ重かった。胸の奥に、昨日の光のトンネルで感じた愛しいという感情が残っている。それは温かいのに、どこか切ない。理由はひとつ。タダシには、群馬に家族がいる...
迷ってもいい

第33話 タダシの添い寝の夢

光のページェントからの帰り道。バスの揺れはゆっくりで、イルミネーションの余韻がまだ二人の肩に残っていた。ミクは窓の外を見つめ、タダシはその横顔をそっと見守っていた。言葉は少ない。でも、沈黙は不安ではなく、むしろ心が寄り添うような静けさだった...
迷ってもいい

第32話 言葉を交わさない時間の尊さ

仙台駅へ向かう帰り道。イルミネーションの余韻がまだ二人の肩に残っていて、街のざわめきさえもどこか柔らかく聞こえていた。ミクは、タダシの少し前を歩いていた。歩幅はゆっくりで、まるでこの時間を急いで終わらせたくないようだった。タダシは、その背中...
迷ってもいい

第31話 かわいいではなく愛しいという感情

イルミネーションのトンネルを抜けたあと、二人はゆっくりと駅へ向かって歩いていた。冬の空気は冷たいのに、胸の奥だけはじんわり温かいそんな帰り道だった。ミクは、光の余韻をまとったまま、少しだけ歩く速度を落としていた。タダシは、その横顔を見ながら...
迷ってもいい

第30話 ふと振り向いたミク

定禅寺通りのイルミネーションのトンネルを抜けたあと、二人は仙台の冬の街をゆっくり歩いていた。光の余韻がまだ肩に残っているような、そんな静かな時間だった。タダシは、ミクの横顔を見ながら歩いていた。光に照らされた頬は少し赤く、寒さと、ほんの少し...
迷ってもいい

第29話 イルミネーションのトンネルへ

仙台・定禅寺通りの光のページェントを歩いたあと、二人はゆっくりと足を進めていた。ケヤキ並木の金色の光が背中を照らし、街の空気は冬らしい冷たさと、どこか胸の奥が温かくなるような静けさを含んでいた。ミクは、光を見上げながら言った。「タダシさん ...
迷ってもいい

第28話 仙台・定禅寺通りのクリスマスライトアップを歩く二人

ミクが見せたさみしさの影の翌日、タダシは彼女を少しでも気晴らしさせたいと思い、夜の散歩へ出かけることを提案した。ミクは驚きながらも、「行ってみたいです」と静かにうなずいた。 仙台の冬を彩る場所——定禅寺通りの光のページェント仙台の二人が歩く...
迷ってもいい

第27話 タダシが見たさみしさの影

サンタ第2工房の夕暮れ。木の香りと沈みゆく光がゆっくり混ざり合う時間だった。女性と子どもたちを守る財団の女性たちが帰ったあと、工房には静けさが戻っていた。その静けさの中で、タダシはふと気づいた。ミクの背中が、いつもより少しだけ小さく見える。...
迷ってもいい

第26話 女性や子どもを守る財団の活動

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。契約の森の物語を語った翌日、タダシは胸の奥に残る物語の余韻を抱えながら工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり書類を広げていた。その背中は、いつも...
迷ってもいい

第25話 森の精霊と契約した場所と木の精霊の物語

ミクが「芸術家になりたい」と語った翌日。サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合っていた。タダシが扉を開けると、ミクは木片を並べながら、どこか遠くを見るような目をしていた。「こんにちは、タダシさん」その声は、物語の始まり...
迷ってもいい

第24話 ミクさんのファンたち(職人・先生・森林組合)

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。ミクが「芸術家になりたい」と語った翌日、タダシはその余韻を胸に抱えながら工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木片を並べていた。しかし、今日は、...
迷ってもいい

第23話 売る仕事と作る仕事のあいだ

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。ミクが「芸術家になりたい」と打ち明けた翌日、タダシは胸の奥に残るその言葉の余韻を抱えながら工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木片を並べていた...
迷ってもいい

第22話 私、芸術家になりたいの

サンタ第2工房の夕暮れは、木の香りと、ゆっくり沈む光が混ざり合う静かな時間だった。台形パズルの色付けを終えた翌日、タダシは胸の奥にまだ残るやさしい色を抱えながら工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木片を並べていた。そ...
迷ってもいい

第21話 台形パズルの色付けの日

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。タダシは、昨日ミクが見せた静かな笑いを胸に、今日も工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、色見本の紙を広げていた。その指先は、いつもより少しだけ楽しそう...
迷ってもいい

第20話 タダシの物忘れとミクの静かな笑い

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。タダシは、昨日ミクが見せてくれた「かわいくなるまで磨く」という職人魂を胸に、今日も工房へ向かっていた。しかし、この日は、タダシのある性質が静かに顔を出す日だった。タダ...
迷ってもいい

第19話 かわいくなるまで磨く職人魂

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。昨日、タダシが癇癪を起こし、ミクが静かに境界線を引いたあの出来事は、二人の間に小さな痛みと理解を残していた。その痛みは、二人の距離を遠ざけるものではなく、むしろ近づけ...
迷ってもいい

第18話 タダシの癇癪とミクの境界線

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。しかしこの日は、いつもの穏やかさとは少し違う空気が流れていた。タダシは、胸の奥に小さなざらつきを抱えながら工房へ向かっていた。自分でも理由がよく分からない。疲れなのか...
迷ってもいい

第17話 ミクの人付き合いが苦手という本音

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。タダシは、ミクが作ってくれた焼きそばの温度を胸に、今日も工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木片を磨いていた。しかしその背中は、いつもより少し...
迷ってもいい

第16話 工房のキッチンで作る焼きそば

サンタ第2工房の昼下がりは、木の香りと、ゆっくり流れる時間が混ざり合う。タダシは、いつものように作業物を抱えて工房へ向かっていた。しかし今日は、胸の奥が少しだけざわついていた。ミクさんが朝に作ってくれたお弁当の温度が、まだ心の中に残っていた...
迷ってもいい

第15話 お弁当の温度と朝の時間

サンタ第2工房の朝は、木の香りと、まだ眠りきらない街の静けさがゆっくり混ざり合う時間だった。タダシは、昨日ミクが作ってくれた手作りのお弁当の温度を胸に、いつもより少し早い足取りで工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木...
迷ってもいい

第14話 食事に誘われた夜

サンタ第2工房の夕暮れは、木の香りと静かな光がゆっくり溶け合う時間だった。タダシは、今日の工房へ向かう足取りがいつもより少しだけ重く、そして少しだけ軽かった。重いのは、ミクの芸術家の眼に触れたあと、自分の未熟さを思い知ったから。軽いのは、そ...
迷ってもいい

第13話 ミクのチェックは芸術家の眼

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。タダシは、昨日ミクが見せたかわいいの肯定を胸に、今日も工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木片を並べていた。その指先は、まるで木と会話している...
迷ってもいい

第12話 タダシの恥④ 植物を枯らす才能

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。昨日の「英語が上達しない男」の話で、ミクが涙を流して笑ったことが、タダシの胸の奥にまだ温かく残っていた。今日も扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木片を磨いていた...
迷ってもいい

第11話 タダシの恥③カナダで英語が上達しない男

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。昨日、タダシが語った「土手50m炎上事件」は、ミクさんの静かな理解とともに、工房の空気を少しだけ深くした。今日も扉を開けると、ミクさんは作業台の前で木片を磨いていた。...
迷ってもいい

第10話 タダシの恥② 土手を50m燃やした日

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。昨日、タダシが語った「肥溜め事件」は、ミクの静かな笑いとともに、工房の空気を少しだけ柔らかくしていた。今日も扉を開けると、ミクさんは作業台の前で木片を磨いていた。「こ...
迷ってもいい

第9話 タダシの恥① 肥溜めに落ちた少年

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。ミクは作業台の前で木片を磨いていた。その背中は、昨日より少しだけ柔らかかった。「こんにちは、タダシさん」その声は、昨日よりもあたたかかった。しばらく作業をしていると、...
迷ってもいい

第8話 「いいよいいよ」の優しい怒り

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。タダシは、昨日の積み木が入らない事件を思い出しながら、今日も工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木片を磨いていた。その背中は、昨日より少しだけ...
迷ってもいい

第7話 積み木が入らない事件

サンタ第2工房の昼下がりは、木の香りと静かな光が混ざり合う、やさしい時間だった。タダシは、昨日ミクさんからもらったかわいい哲学の余韻を胸に、今日も工房へ向かっていた。しかしこの日は、タダシの不器用コメディが大きく動く日だった。 運命の瞬間:...
迷ってもいい

第6話 タダシ、工房に通い始める

サンタ第2工房の朝は、木の香りと静けさがゆっくり混ざり合う時間だった。タダシは、昨日ミクが見せたかわいいの魔法を胸に、今日も工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木片を磨いていた。その姿は、昨日よりも少しだけ柔らかく見...
迷ってもいい

第5話 かわいいの魔法が落ちる瞬間

サンタ第2工房の午後は、光の粒がゆっくり舞うような静けさに包まれていた。タダシは、昨日リョウマくんが見せた無邪気な笑顔を思い出しながら、今日も工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクはひとりで木片を磨いていた。昨日よりも少しだけ集中しているよ...
迷ってもいい

第4話 リョウマくんと工房の午後

サンタ第2工房の午後は、いつもより少しだけ甘い木の香りが漂っていた。タダシが扉を開けると、その理由がすぐに分かった。ミクの隣に、見慣れない青年がいた。金髪に近い明るい茶色の髪。瞳は黒くて、子どものように好奇心でいっぱい。そして笑顔がやたらと...
迷ってもいい

第3話 「こういうのって、できますか?」

サンタ第2工房の午後は、木の香りと静けさがゆっくり混ざり合う時間だった。タダシは、昨日ミクが見せたさみしさを胸に、今日も工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは作業台の前で、ひとり木片を並べていた。昨日よりも少しだけ集中しているように見えた...
迷ってもいい

第2話 さみしさを抱えた芸術家

サンタ第2工房の朝は、木の香りと静けさがゆっくり混ざり合う時間だった。タダシは、昨日の出会いの温度を胸に、今日も工房へ向かっていた。扉を開けると、ミクは奥の作業台で、ひとり木片を磨いていた。その姿は、昨日と同じ。けれど昨日よりもずっとさみし...
迷ってもいい

第1話 サンタ第2工房の扉が開いた日

仙台駅北口から徒歩8分。商店街の端に、ひっそりと木の香りを漂わせる店がある。名前は サンタ第2工房。看板は少しゆがんでいるが、そのゆがみさえも「手作りの温度」を感じさせた。タダシは、その店の前で深呼吸した。胸の奥がざわつくのは、緊張ではなく...