サンタ第2工房の午後は、
木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。
契約の森の物語を語った翌日、
タダシは胸の奥に残る物語の余韻を抱えながら工房へ向かっていた。
扉を開けると、
ミクは作業台の前で、ひとり書類を広げていた。
その背中は、いつもより少しだけ張りつめていて、
どこか、外の世界とつながっているようだった。
「こんにちは、タダシさん」
その声は、静かで、どこか誇らしさを含んでいた。
ミクが関わる女性や子どもを守る活動
タダシが近づくと、
ミクは書類をそっと閉じて言った。
「タダシさん
今日は、私が所属している財団の方が来られるんです」
タダシは目を瞬いた。
「財団?」
ミクは、少し照れながら説明した。
「表向きは女性と子どもたちを守る奉仕団体なんですけど
本当は、地域のために静かに動いている人たちなんです。
私は、少しだけ協力していて」
その声は、
普段の職人としての声とは違い、
どこか使命を持つ人の響きだった。
財団の活動は、静かで、深い
ミクは、作業台の端に座りながら言った。
「その財団の人たちってね
派手な活動はしないんです。
でも、世界中の弱者を守っているんです」
タダシは静かに聞いた。
ミクは続けた。
「困っている女性の相談に乗ったり、
子どもの安全を守ったり、
地域の小さな問題を拾い上げたり
そういう静かな平和をずっと守っているんです」
その言葉は、
木の粉よりも細かく、
胸に静かに落ちた。
ミクが関わる理由
ミクは、少しだけ目を伏せた。
「私ね
人付き合いは苦手なんですけど
困っている人を見ると、放っておけないんです」
タダシは胸がぎゅっとなった。
(ミクさんは、やさしさの形が静かな支援なんだ)
ミクは続けた。
「その財団の人たちって、
誰かを助けても名前を出さないんです。
私がやりましたって言わない。
ただ静かに、必要なことをするんです」
タダシは思わず言った。
「ミクさんみたいですね」
ミクは、少し照れながら笑った。
「そんなことないですよ
私はまだまだです」
でも、その声は嬉しそうだった。
工房に訪れた静かな守り手たち
しばらくすると、
工房の扉が静かに開いた。
財団の女性たちが、
穏やかな笑顔で入ってきた。
派手な服も、
大きな声もない。
ただ、
女性と子どもたちを守る静かな気配だけがあった。
ミクは、少し緊張しながら言った。
「今日は、子どもたちへの贈り物を作る相談なんです。
タダシさんもよかったら、一緒に」
タダシは胸が熱くなった。
(ミクさんは、私をこの活動に巻き込んでくれているんだ)
静かな平和は、静かな人を育てる
財団の女性たちは、
ミクの積み木を見て、
やさしく微笑んだ。
「この角の丸さ
子どもが安心して持てますね」
「色がやさしい。
気持ちが落ち着く色です」
ミクは、照れながら言った。
「ありがとうございます
子どもが怖がらない形にしたくて」
タダシは思った。
(ミクさんは、職人としてだけじゃなく、
世の中を守る側としても愛されているんだ)
二人の距離がまたひとつ近づいた午後
財団の女性たちが帰ったあと、
工房には静けさが戻った。
ミクは、少し照れながら言った。
「タダシさん
こういう活動、嫌じゃなかったですか?」
タダシは首を振った。
「むしろ
ミクさんがどんな人なのか、
またひとつ知れました」
ミクは、胸の前で手をぎゅっと握りしめた。
「ありがとう。
タダシさんに見てもらえてよかった」
その笑顔は、
工房の光よりもやさしく、
タダシの胸に深く沈んだ。


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