仙台・定禅寺通りの光のページェントを歩いたあと、
二人はゆっくりと足を進めていた。
ケヤキ並木の金色の光が背中を照らし、
街の空気は冬らしい冷たさと、
どこか胸の奥が温かくなるような静けさを含んでいた。
ミクは、光を見上げながら言った。
「タダシさん
あの光の森、すごくきれいでしたね」
タダシはうなずいた。
「ミクさんが見てる景色、
私も一緒に見られてよかったです」
ミクは少し照れながら笑った。
二人が向かったのは光のトンネル
ページェントの会場を抜けると、
少し離れた場所に、
小さなイルミネーションのトンネルがあった。
観光客が写真を撮り、
子どもたちが走り抜け、
カップルがゆっくり歩く。
その光のトンネルは、
まるで冬の夜にだけ開く秘密の道のようだった。
ミクは、そっと言った。
「行ってみたいです」
タダシは微笑んだ。
「じゃあ、行きましょう」
光のトンネルは、二人だけの世界だった
トンネルの中は、
外よりも少しだけ暖かく感じた。
天井から垂れ下がる光の粒が、
二人の肩や髪に静かに降り注ぐ。
ミクは、ゆっくり歩きながら言った。
「タダシさん
こういう場所、来たことなかったんです」
タダシは驚いた。
「えっ?意外ですね」
ミクは、少しだけ目を伏せた。
「人混みが苦手で
でも今日は、平気です」
タダシは静かに言った。
「私がいるから、ですか?」
ミクは、光の粒の中で小さくうなずいた。
「はい。
タダシさんとなら、平気です」
その言葉は、
イルミネーションよりもあたたかく、
タダシの胸に深く沈んだ。
光の中でミクは少しだけ素直になった
トンネルの中央で、
ミクは立ち止まった。
「タダシさん
昨日のさみしさの話、
聞いてくれてありがとうございました」
タダシは静かに言った。
「ミクさんが話してくれて、嬉しかったです」
ミクは、光に照らされた横顔で言った。
「タダシさんと歩いてると
さみしさが薄くなるんです。
なんででしょうね」
タダシは答えた。
「ミクさんが、私を信じてくれてるからですよ」
ミクは、胸の前で手をぎゅっと握りしめた。
「信じてます。
タダシさんのこと」
その声は、
光の粒よりも細かく震えていた。
トンネルを抜けたとき二人の距離は確かに変わっていた
イルミネーションのトンネルを抜けると、
冬の夜の空気がふっと戻ってきた。
ミクは、少し照れながら言った。
「タダシさん
また来たいです。
このトンネル」
タダシは微笑んだ。
「もちろんです。
ミクさんが行きたい場所なら、どこでも」
ミクは、光の余韻を胸に抱えながら言った。
「じゃあ、また誘ってくださいね」
その言葉は、
光のページェントよりもあたたかく、
タダシの胸に深く沈んだ。


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