第17話 ミクの人付き合いが苦手という本音

迷ってもいい
サンタ第2工房関係者の抱負…
木工作家さん
小物作家
次は、かわいい
ブランコを作って
みますね。
木工職人さん
木工職人
問題は、四角い積み木を
どうやって
かわいくするか、だ。

サンタ第2工房の午後は、
木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。
タダシは、ミクが作ってくれた焼きそばの温度を胸に、
今日も工房へ向かっていた。

扉を開けると、
ミクは作業台の前で、ひとり木片を磨いていた。
しかしその背中は、いつもより少しだけ影を落としていた。

「こんにちは、タダシさん」

その声は、昨日より少しだけ静かだった。

ミクの影がこぼれた瞬間

しばらく沈黙が続いたあと、
ミクは木片を置き、
少しだけ遠くを見るような目になった。

「タダシさん
 私ね、人付き合いが苦手なんです」

タダシは息をのんだ。

ミクは続けた。

「嫌いなわけじゃないんですよ。
 むしろ、人は好きなんです。
 でも近づきすぎると、疲れちゃうんです」

その言葉は、
木の粉よりも細かく震えていた。

タダシは静かに聞いた。

(ミクさんは、ずっとこの影を抱えていたんだ)

距離の取り方が分からない

ミクは、積み木をひとつ手に取り、
指先で角をなぞりながら言った。

「人と話すのは好きなんです。
 でも、どこまで近づいていいのか分からなくて
 気を使いすぎて、疲れちゃうんです」

タダシは、胸がぎゅっとなった。

「ミクさん
 それ、すごく分かります」

ミクは、少し驚いたようにタダシを見た。

「分かるんですか?」

タダシはうなずいた。

「はい。
 私も、人に気を使いすぎて疲れるタイプなので」

ミクは、ふっと笑った。

「タダシさん、そういうところかわいいですよ」

タダシは照れながら笑った。

ミクの孤独の正体

ミクは、木片を光にかざしながら言った。

「だからね
 誰かと一緒にいるときは、
 すごく嬉しいんですけど
 同時に、すごく怖いんです」

タダシは、胸が熱くなった。

(ミクさんは、嬉しさと怖さを同時に抱えているんだ)

ミクは続けた。

「タダシさんが来てくれるの、嬉しいんですよ。
 でも
 近づきすぎたら、いつか離れちゃうんじゃないかって
 そう思うと、怖くなるんです」

その言葉は、
タダシの胸の奥に深く沈んだ。

タダシの言葉が、ミクの影に触れた

タダシは、ゆっくりと言った。

「ミクさん
 私、離れませんよ」

ミクは、木片を持ったまま動きを止めた。

「タダシさん」

その声は、木の粉よりも細かく震えていた。

タダシは続けた。

「ミクさんが疲れたら、距離を置いていいんです。
 でも、私はここにいます。
 ミクさんが来てほしいと思う限り」

ミクは、ゆっくりと微笑んだ。

「ありがとう。
 そんなふうに言ってくれる人、あまりいないんです」

その笑顔は、
昨日よりも少しだけ柔らかく、
そして少しだけあたたかかった。

タダシの胸に落ちたもの

タダシは思った。

ミクさんは、人が好きなのに、人が怖い。
その矛盾が、ミクさんの影だった。

そしてその影に触れられたのは、
タダシだけだった。

その日、工房を出るとき、
タダシの胸の奥は、
焼きそばの温度よりも深く、
静かで温かかった。

ミクが人付き合いが苦手な理由を語った日は、
二人の距離が確かに近づいた日だった。

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