第16話 工房のキッチンで作る焼きそば

迷ってもいい
サンタ第2工房関係者の抱負…
木工作家さん
小物作家
次は、かわいい
ブランコを作って
みますね。
木工職人さん
木工職人
問題は、四角い積み木を
どうやって
かわいくするか、だ。

サンタ第2工房の昼下がりは、
木の香りと、ゆっくり流れる時間が混ざり合う。
タダシは、いつものように作業物を抱えて工房へ向かっていた。

しかし今日は、胸の奥が少しだけざわついていた。
ミクさんが朝に作ってくれたお弁当の温度が、
まだ心の中に残っていたからだった。

🍳 工房の奥にある小さなキッチン

工房の扉を開けると、
ミクは、いつものように木片を磨いていた。
しかし、どこか落ち着かない様子だった。

「こんにちは、タダシさん」

その声は、昨日より少しだけ明るかった。

タダシは、作業台の横に立ち、
ミクの手元を見つめた。

「今日もかわいくなるまで磨くんですね」

ミクは、ふっと笑った。

「はい。
 でも今日はちょっと違うんです」

タダシは首をかしげた。

「違う?」

ミクは、作業台の奥を指さした。

「キッチン、使っていいって言われたんです。
 だから焼きそば、作ろうと思って」

タダシは固まった。

「焼きそばですか?」

ミクは、少し照れながら言った。

「はい。
 タダシさん、好きかなって思って」

その言葉は、
工房の木の香りよりもあたたかかった。

🔥ミクの料理している姿は、職人とは違う顔だった

工房の奥にある小さなキッチンは、
普段はスタッフが簡単な飲み物を作るだけの場所だった。

しかし今日は、
ミクがフライパンを温め、
野菜を切り、
麺をほぐしていた。

その姿は、
いつもの職人の顔ではなく、
どこか家庭的で、
少しだけ楽しそうだった。

タダシは、キッチンの入り口で見守りながら言った。

「ミクさん、料理してる姿
 なんか、いいですね」

ミクは、照れながら言った。

「やめてくださいよ。
 恥ずかしいじゃないですか」

しかし、その声は嬉しそうだった。

🍜 焼きそばの香りが工房を満たしていく

フライパンから立ち上る湯気が、
木の香りと混ざり合って、
工房の空気をやさしく変えていく。

ミクは、ソースを絡めながら言った。

「タダシさん、
 こういうの、好きでしょ?」

タダシは、胸が熱くなった。

「はい。
 すごく好きです」

ミクは、ふっと笑った。

「よかった。
 タダシさんのために作ってるんですから」

その言葉は、
タダシの胸の奥に静かに沈んだ。

(ミクさんは、私のために料理をしてくれているんだ)

🥢 二人で食べる焼きそばの午後

キッチンの横の小さなテーブルに、
焼きそばが置かれた。

湯気が立ち上り、
ソースの香りが広がる。

タダシは、箸を持ちながら言った。

「ミクさん
 本当にありがとうございます」

ミクは、少し照れながら言った。

「いいんですよ。
 タダシさん、いつもがんばってくれてるから」

二人は、静かに食べ始めた。

焼きそばは、
驚くほどおいしかった。

麺はもちもちで、
野菜はシャキシャキで、
ソースは甘くて、
どこか懐かしい味がした。

タダシは、思わず言った。

「ミクさん
 これ、すごくおいしいです」

ミクは、少しだけ嬉しそうに言った。

「よかった。
 料理、好きなんです。
 誰かに食べてもらうの、もっと好きなんです」

タダシは、ミクの横顔を見つめた。

その横顔は、
いつもの職人の顔ではなく、
どこか柔らかくて、
少しだけさみしそうだった。

🌙 タダシの胸に落ちたもの

食べ終わったあと、
ミクは静かに言った。

「タダシさん
 また作りますね。
 焼きそばでも、お弁当でも」

タダシは、胸が熱くなった。

「はい。
 また食べたいです」

ミクは、ふっと笑った。

「じゃあ
 また作りますね」

その言葉は、
タダシの胸の奥に静かに沈んだ。

(ミクさんは、私を必要な人として見てくれているんだ)

その日、工房を出るとき、
タダシの胸の奥は、
焼きそばの温度のようにじんわりと温かかった。

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