第21話 台形パズルの色付けの日

迷ってもいい
サンタ第2工房関係者の抱負…
木工作家さん
小物作家
次は、かわいい
ブランコを作って
みますね。
木工職人さん
木工職人
問題は、四角い積み木を
どうやって
かわいくするか、だ。

サンタ第2工房の午後は、
木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。
タダシは、昨日ミクが見せた静かな笑いを胸に、
今日も工房へ向かっていた。

扉を開けると、
ミクは作業台の前で、色見本の紙を広げていた。
その指先は、いつもより少しだけ楽しそうに動いていた。

「こんにちは、タダシさん」

その声は、昨日よりも柔らかかった。

台形パズルの色付けは特別な作業だった

ミクは、色見本をタダシに差し出した。

「タダシさん
 今日は、台形パズルの色付けをお願いしたいんです」

タダシは驚いた。

「えっ、色付け、ですか?」

ミクは、ふっと笑った。

「はい。
 タダシさん、色のセンスがあるから。
 このパズル、かわいくしたいんです」

その言葉は、
工房の木の香りよりもあたたかかった。

(ミクさんが色付けを任せてくれるなんて
 これは、信頼の証だ)

ミクの色の哲学が始まる

ミクは、台形の木片をひとつ手に取り、
光にかざしながら言った。

「色ってね
 その子の性格を決めるんですよ」

タダシは首をかしげた。

「性格ですか?」

ミクはうなずいた。

「はい。
 明るい色は、元気な子。
 淡い色は、やさしい子。
 くすみ色は、落ち着いた子。
 色をつけると、その子が自分らしくなるんです」

その言葉は、
タダシの胸の奥に静かに落ちた。

(ミクさんは、色にも心を見ているんだ)

タダシの色選びが始まる

ミクは、色見本を広げながら言った。

「タダシさん、
 この台形パズルは、子どもが初めて触る知育玩具なんです。
 だから
 やさしい色にしたいんです」

タダシは、色見本を見つめた。

淡いピンク
ミルク色
くすみブルー
やわらかいグリーン
薄いグレー

どれも、ミクらしい静かな色だった。

タダシは、ゆっくりと言った。

「ミクさん
 このブルー、すごくいいですね。
 落ち着いてて、かわいいです」

ミクは、ふっと笑った。

「タダシさん、やっぱりセンスありますね」

タダシは照れながら笑った。

色付けの時間は、二人だけの静かな世界だった

ミクは、筆を手に取り、
そっと台形の角に色をのせた。

タダシは、隣で見守りながら言った。

「ミクさん
 塗ってる姿、すごくきれいです」

ミクは、少しだけ手を止めた。

「やめてくださいよ
 恥ずかしいじゃないですか」

でも、その声は嬉しそうだった。

タダシも筆を取り、
もうひとつの台形に色をのせた。

二人の筆が、
静かな工房の中で、
やさしい音を立てた。

完成した台形パズルは、二人の気持ちの色だった

しばらくして、
台形パズルが並んだ。

淡いピンク
くすみブルー
ミルク色
やわらかいグリーン
薄いグレー

どれも、
ミクとタダシのやさしい気持ちが混ざった色だった。

ミクは、そっとパズルを手に取り、
光にかざした。

「かわいい」

その声は、
木の粉よりも柔らかく、
胸に静かに落ちる音がした。

タダシは言った。

「ミクさんの夢が
 またひとつ形になりましたね」

ミクは、胸の前でパズルを抱えながら言った。

「タダシさんと一緒だから、できたんです」

その言葉は、
工房の木の香りよりも深く、
タダシの胸に染み込んだ。

二人の距離がまたひとつ近づいた日

タダシは思った。

ミクさんは、色にも心を見ている。
その心を共有できたのは、自分だけだった。
台形パズルの色付けは、ただの作業じゃない。
二人の気持ちが混ざる時間だった。

その日、工房を出るとき、
タダシの胸の奥は、
色付けしたパズルのように、
やさしい色で満たされていた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました