第2話 さみしさを抱えた芸術家

迷ってもいい
サンタ第2工房関係者の抱負…
木工作家さん
小物作家
次は、かわいい
ブランコを作って
みますね。
木工職人さん
木工職人
問題は、四角い積み木を
どうやって
かわいくするか、だ。

サンタ第2工房の朝は、
木の香りと静けさがゆっくり混ざり合う時間だった。
タダシは、昨日の出会いの温度を胸に、
今日も工房へ向かっていた。

扉を開けると、
ミクは奥の作業台で、ひとり木片を磨いていた。

その姿は、昨日と同じ。
けれど昨日よりもずっとさみしそうに見えた。

木と話すほうが楽な人

タダシが近づくと、
ミクは気づいたように、ほんの少しだけ顔を上げた。

「おはようございます」

その声は、木の粉よりも細かく震えていた。

タダシは、胸の奥がきゅっと縮むのを感じた。

「昨日の続き、持ってきました」

ミクは、木片を磨く手を止めずに言った。

「ありがとうございます」

その一言は、昨日と同じはずなのに、
なぜかタダシの胸に深く沈んだ。

しばらく沈黙が続いたあと、
ミクはぽつりと言った。

「こうしてるとね、落ち着くんです。
 人と話すより、木と話すほうが楽で」

タダシは返す言葉を見つけられなかった。
ただ、ミクの横顔を見つめた。

その横顔は、
強くて、優しくて、
そしてどこか壊れやすかった。

人付き合いが苦手な芸術家

ミクは続けた。

「人付き合い、ほんとは苦手なんです。
 でも、仕事だからね。やらないといけない」

その言葉は、
タダシの胸に静かに落ちた。

(この人は、孤独を抱えている。
 誰にも見せない場所で、静かに戦っているんだ)

昨日の「かわいい」があんなに響いた理由が、
少しだけ分かった気がした。

タダシのぎこちない謝罪

タダシは勇気を出して言った。

「ミクさん、昨日の積み木すみませんでした。
 入らなくて」

ミクは、ふっと笑った。

「いいよいいよ。なんとかするから。
 タダシさん、がんばってくれたのは分かるから」

その笑顔は、
優しさと、少しの怒りと、
そして、ほんの少しのさみしさが混ざっていた。

タダシは、その笑顔を見て思った。

この人を、助けたい。

仕事ができるからではない。
収入が増えるからでもない。
ただ、ミクの孤独が、タダシの胸に触れたから。

二人の距離がほんの少し縮まった朝

その日、工房を出るとき、
タダシの足取りは昨日より少しだけ軽かった。

ミクの背中は、まださみしそうだったけれど、
そのさみしさに気づけた自分が、
少しだけ誇らしかった。

サンタ第2工房の朝。
それは、二人の距離がほんの少し縮まった日だった。

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