第24話 ミクさんのファンたち(職人・先生・森林組合)

迷ってもいい
サンタ第2工房関係者の抱負…
木工作家さん
小物作家
次は、かわいい
ブランコを作って
みますね。
木工職人さん
木工職人
問題は、四角い積み木を
どうやって
かわいくするか、だ。

サンタ第2工房の午後は、
木の香りと静かな光がゆっくり混ざり合う時間だった。
ミクが「芸術家になりたい」と語った翌日、
タダシはその余韻を胸に抱えながら工房へ向かっていた。

扉を開けると、
ミクは作業台の前で、ひとり木片を並べていた。
しかし、今日は、いつもより少しだけ周囲がざわついていた。

工房の奥から、
誰かの話し声が聞こえていた。

ミクにはファンがいる

タダシが近づくと、
ミクは少し照れたように言った。

「タダシさん
 今日は、いろんな人が来てるんです」

その声は、
どこか誇らしさと、少しの恥ずかしさが混ざっていた。

工房の奥には、
三つのファンの姿があった。

職人仲間のファン

最初に声をかけてきたのは、
工房のベテラン職人・佐伯さんだった。

「ミクちゃんの色付け、見たよ。
 あれはすごい。
 あんな淡い色をあんなに綺麗に出せる人、なかなかいない」

ミクさんは、照れながら言った。

「佐伯さん、褒めすぎです」

しかし佐伯さんは首を振った。

「いや、本当に。
 ミクちゃんの色は人の気持ちを
落ち着かせる色なんだよ。
 あれは才能だ」

タダシは胸が熱くなった。

(ミクさんは、職人としても認められているんだ)

保育園の先生のファン

次に来たのは、
近くの保育園の先生だった。

「ミクさんの積み木、子どもたちがすごく好きなんです。
 あの角の丸さ、手に吸い付くみたいで
 子どもが安心して持てるんですよ」

ミクは、少しだけ目を伏せた。

「そう言ってもらえるの、嬉しいです
 子どもが使うものは、怖くない形にしたくて」

先生は笑った。

「ミクさんの積み木は、
 子どもが自分で触りたいと思う形なんです。
 それって、すごいことですよ」

タダシは思った。

(ミクさんは、子どもの世界にも影響を与えているんだ)

ギルド(森林組合)のファン

最後に来たのは、
木材を提供している森林組合の担当者だった。

「ミクさんの作品はね
 木が喜んでるんですよ」

ミクは驚いたように言った。

「木が喜んでる?」

担当者はうなずいた。

「木ってね、雑に扱われるとすぐ分かるんです。
 でも、ミクさんの作品は、
 木の生きてた頃の形を尊重してる。
 だから、木が安心してるんですよ」

ミクは、胸の前で手をぎゅっと握りしめた。

「そんなふうに言ってもらえるなんて
 思ってませんでした」

タダシは思った。

(ミクさんは、木の世界にも認められているんだ)

ミクは人に愛される職人だった

三者三様のファンが帰っていったあと、
工房には静けさが戻った。

ミクは、少し照れながら言った。

「タダシさん
 なんか、恥ずかしいですね」

タダシは首を振った。

「恥ずかしくないですよ。
 ミクさんは、みんなに愛されてるんです」

ミクは、少しだけ目を伏せた。

「でも、私、自分の作品を作りたいって思ってるんです。
 職人として認められてるのに、
 そんなこと言っていいのかなって」

タダシは静かに言った。

「ミクさん。
 みんながミクさんを好きなのは、
 ミクさんがミクさんらしく作るからですよ」

ミクは、ゆっくりと顔を上げた。

「私らしく?」

タダシはうなずいた。

「職人としても、芸術家としても。
 どっちのミクさんも、みんな好きなんです」

ミクは、胸の奥がほどけるような表情をした。

「ありがとう。
 タダシさんに言われると、信じられます」

二人の距離がまたひとつ近づいた午後

タダシは思った。

ミクさんは、職人として愛されている。
子どもにも、木にも、職人にも。
その愛される力こそが、芸術家になるための土台なんだ。

その日、工房を出るとき、
タダシの胸の奥は、
ミクのファンたちの温度で満たされていた。

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