遺骨ダイヤモンド18 失くしたらどうする

遺骨ダイヤモンド18 遺骨ダイヤモンド
遺骨ダイヤモンド18
はじめに(遺骨ダイヤモンド)

ハートインダイヤモンドでスタッフをしていたことがあります。その時の経験をもとに、わかりやすく物語にしてみました。

登場人物紹介

ミクの夫です。遺骨ダイヤモンドって、うさんくさいので苦手です。

ミクです。お母さんの遺骨をブルーダイヤモンドにしたことがあります。

夕飯後。
食卓には味噌汁の湯気がまだふわりと漂っていた。

そんな穏やかな時間をぶち壊すように、夫が突然、真顔で言った。

「なぁ、ミク。遺骨ダイヤモンドをなくしたらどうするんだ?」

私は箸を置き、固まった。

(よりによって、今、その話?
なんで、食後のほっこりタイムに、なくす前提の話をするのよ)

「なくしたらって、そんな縁起でもないこと言わないでよ」

「いや、心配なんだよ。大事なものだろ?」

出た。
夫の心配性スイッチ。
どこに付いてるのか本当に知りたい。
たぶん背中のどこかに不安増幅ボタンがある。

私は深呼吸して、ゆっくり言った。

「怖いよ。でもね、それでも私はお母さんと一緒にいたいんだよ」

夫は黙って私の顔を見つめた。
その目は、いつものツッコミモードではなく、ちゃんと優しい。

なくすということは、一緒にいた証

「もし、万が一、なくしたら」

私は少し笑って言った。

「それは、お母さんとたくさん出かけた証だよ」

夫は驚いた顔をした。

「証?」

「そう。
お母さんがね、もうあなたは一人でも大丈夫よって、
そっと離れていったのかもしれないじゃない」

夫はゆっくりうなずいた。

「そう考えると、少し気が楽になるな」

もしものときは、まず落ち着いて探す

しかし、次の瞬間、夫の現実的スイッチがカチッと入った。

「でもさ、本当に失くしたらどうするんだ?」

「まずは落ち着いて探すの」

私は指を折りながら言った。

「家の中なら、ベッドの隙間とか、洗濯機の中とか、排水口の奥とか意外と変なところにあるんだよ」

「排水口?」

「そう。あと車のシートの隙間とかね」

夫はなぜか自分のポケットを確認していた。

(今は、何もなくしてないよ)

それでも見つからなかったら、窓口に相談

「それでも見つからなかったら?」

「依頼した窓口に相談するの」

私は優しく続けた。

「遺骨から抽出した炭素が残っていれば、もう一度作ってもらえる可能性があるんだよ」

夫は目を丸くした。

「え、そんなことできるのか」

「できるよ。
だからね、なくしたら終わりじゃないんだよ」

遺骨ダイヤモンドをなくしても心配しなくていい理由

私は夫に向かって、ゆっくり言った。

「遺骨ダイヤモンドをなくすのは怖いよ。
でもね、それはお母さんと一緒にいた証でもあるの」

夫は静かにうなずいた。

「そうか
お母さんをなくすのが怖かったんだよな」

その言葉に、私は胸がじんわり温かくなった。

食卓の湯気はもう消えていたけれど、
夫婦の間にだけ、ふわりと柔らかい空気が残っていた。

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