第55話 タダシを観察するみわさん

悩んでもいい第55話 サンタ第2工房
悩んでもいい第55話
はじめに(サンタ第2工房)

この物語は、私が大好きな木のおもちゃ屋さんをモチーフにして作成しました。主人公のミクさんは、妹の孫の名前からつけています。お気に入りに追加していただけたらうれしいです。

登場人物紹介

職人見習のタダシです。

サンタ第2工房のミクです。

広島駅前徒歩8分。
サンタ第2工房の朝は、木の香りと、みわさんの掃除機の音から始まる。

「ミクさん、ここ、昨日のままじゃない。ほら、木の粉が溜まってる」

みわさんは、ミクさんが言う前に掃除を始める。
綺麗好きというより、もはや職業
そして、清潔。

その横で、タダシさんは静かに作業台の整理をしていた。

みわさんは、ちらっと横目で見る。

(最近よく来るわね、この人)

🪵タダシはほとんど話さない

みわさんは、タダシさんと積極的に話すタイプではない。

理由は簡単。

「職人さんって、ちょっと横柄な人が多いから苦手なのよ」

ミクさんは笑いながら言う。

「タダシさんは横柄じゃないわよ。むしろ丁寧すぎるくらい」

「ふーん。まあ、いいけど」

みわさんは、興味があるような、ないような返事をする。

👀みわさんの観察

ある日。
みわさんが銀行の窓口へ行くため、タイムズカーシェアの予約をしようとしたら――

「えっ、全部埋まってるじゃない!」

ミクさんが苦笑する。

「みわさん、ギリギリまで予約しないからよ」

「だって、広島駅周辺なら絶対空いてると思うじゃない!」

そのとき、タダシさんが声をかけた。

「みわさん、もしよければ私が銀行までお送りしますよ。今日は車で来ていますので」

みわさんは一瞬固まった。

「え?あ、いや、別に」

「遠慮しなくて大丈夫ですよ。すぐ戻りますし」

みわさんは、少しだけ戸惑いながら助手席に乗った。

🚗車内でも沈黙

車内は静かだった。

みわさんは、窓の外を見ながら思った。

(この人、運転うまいわね
それに、車内も綺麗。ゴミひとつない)

タダシさんは、みわさんが緊張しているのを察して、必要以上に話さない。

「銀行、すぐですよ」

「ありがとう」

短い会話。
でも、みわさんは少しだけ印象が変わった。

(横柄じゃないのね、この人)

🧹工房でのすれ違い

翌日。
みわさんは工房の台所でスポンジを交換していた。

タダシさんが入ってきて、軽く会釈する。

「おはようございます、みわさん」

「おはよう。ここ、汚れてたから掃除してるの」

「いつもありがとうございます。助かります」

みわさんは、少しだけ驚いた。

(ちゃんとお礼言うんだ)

「別に、気になるからやってるだけよ」

「それでも、ありがたいです」

みわさんは、ほんの少しだけ頬がゆるんだ。

📦二人の距離をそっと補う

その日の夕方。
ミクさんがみわさんに話しかけた。

「みわさん、昨日タダシさんが銀行まで送ってくれたんでしょ?
あの人、気が利くのよね」

「まあ、悪くはなかったわよ」

「最近、工房のこともいろいろ手伝ってくれてるのよ。
ほら、昨日の納品も全部やってくれたし」

「ふーん」

みわさんは、興味があるような、ないような返事をしながら、
心の中では少しだけ思っていた。

(あの人、意外とちゃんとしてるのね)

🌙みわさん、タダシさんを認める

閉店後。
みわさんは、工房の床をモップがけしながら、ぽつりと言った。

「ミクさん。あの人、悪くないわね」

ミクさんは笑った。

「でしょ?丁寧で、真面目で、気が利くのよ」

「まあ、認めてもいいわ」

その言葉は、みわさんなりの最大級の賛辞だった。

タダシさんは、奥で作業台を片付けながら、
二人の会話を聞こえないふりをしていた。

でも、少しだけ嬉しそうだった。

おしまいに(サンタ第2工房)

タダシです。読んでいただいて、ありがとうございます!

ミクです。今日も一日お疲れ様でした。

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