広島駅前徒歩8分。
サンタ第2工房の朝は、木の香りと少し散らかった作業台から始まる。
ミクさんは、解約した倉庫から持ち帰った在庫を店頭に並べていた。
積み木、端材、古い看板、木のパーツそして、なぜか鉄板まで。
「ミクさん、これ鉄板ですよね?」
みわさんは、眉をひそめていた。
「そうなの!倉庫の奥から出てきたのよ。今世紀最大の発見じゃない?」
「発見って。まあいいけど、ここ、木の粉がすごいわよ。掃除するからどいて」
みわさんは、ミクさんが言う前にモップを持って動き始めた。
🧽綺麗好きというより潔癖の天使

みわさんは、サンタ第2工房が開店したときからの仲間だ。
性格はミクさんと真逆。
- 散らかっているとすぐ片付ける
- 台所のスポンジの位置がズレていると直す
- ゴミ箱の袋が少しでも浮いていると交換する
ミクさんは、そんなみわさんを頼もしく思っている。
ただし――
「ミクさん、あの職人、態度悪くない?
あのひと、最低ね」
みわさんは、職人さんの横柄な態度に容赦がない。
ミクさんは苦笑しながら答える。
「取引先だから、あまり言わないでね」
「わかってるわよ。でも最悪よ」
🚗みわさんはお使い担当でもある
ミクさんが運転をやめてから、
ちょっとした納品や銀行の窓口巡りは、みわさんも担当するようになった。
社用車はないので、タイムズカーシェアを使う。
広島駅周辺はカーシェアが多いので、みわさんはギリギリまで予約しない。
しかし――
「ミクさん!今日、タイムズ全部埋まってたのよ!
どういうこと!?」
「どういうことって、みわさん、予約してなかったんでしょ」
「そうだけど!広島駅周辺なら絶対空いてると思うじゃない!」
ミクさんは笑いながら、
「まあ、そういう日もあるわよ」と肩をすくめた。
👀みわさんが最近気づいていること
みわさんは、タダシさんと話すことはほとんどない。
ただ、最近よく工房に来るなとは思っている。
ある日、ミクさんが言った。
「みわさん、タダシさんね、昨日こんなことしてくれたのよ」
「へえ。あの人、最近よく来るわよね」
「そうなの。仕事が丁寧で助かってるのよ(ときどき、雑だけど)」
みわさんは、興味があるような、ないような顔でうなずいた。
「ふーん。まあ、いいんじゃない?」
🧹みわさん、今日も工房をピカピカにする
夕方。
タダシさんが工房に顔を出すと、みわさんが台所でスポンジを交換していた。
「こんばんは、みわさん」
「あ、どうも。ここ、汚れてたから掃除してるの」
タダシさんは少し驚いた。
「いつも綺麗ですね」
「ミクさんが散らかすからよ。あなたも散らかさないでね」
「は、はい」
ミクさんは奥から笑いながら出てきた。
「みわさん、ありがとう。助かるわ」
「いいのよ。私、散らかってると落ち着かないから」
🌙ミクさんは、みわさんの存在がありがたい
閉店後。
ミクさんは、みわさんが整えてくれた工房を見渡した。
「ほんと、みわさんがいてくれてよかったわ」
タダシさんも静かにうなずいた。
「みわさん、すごいですね。工房がいつも綺麗で」
「でしょ?でも、経営のことには口出ししないのよ。
そこは私と相性がいいの」
ミクさんは笑った。
「まあ、いろいろあるけど、いいチームよね、私たち」
工房には、木の香りと、三人のゆるい関係性が心地よく漂っていた。





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