広島駅前徒歩8分の サンタ第2工房。ミクさんが入院するという深刻な出来事がありました。それは今日も削りかけの木片とコーヒーの香りが混ざり合っていた店内から始まります。
サンタ第2工房

主人公の ミクさんは、この工房の店主であり、ちょっと天然で、ちょっと哲学的で、そしてとても愛されている女性だ。
そのミクさんには、お手伝い職人見習いの タダシさんがいる。
不器用だけど誠実で、ミクさんのこととなると心拍数がすぐバグる男だ。
📞 ちょっと入院することになったの

ある日の夕方。
帰宅して自宅でくつろいでいたタダシさんのスマホが鳴った。
電話の向こうから聞こえたミクさんの声は、いつもの明るさより少しだけ静かだった。
「ちょっと入院することになったの」
タダシさんは反射的に言った。
「え、それ来年のエイプリルフール用の新ネタ?」
なにしろ、3日前の4月1日。
ミクさんが送ってきた「明日は大雪になるそうよ…(^ω^)うそだよーん」で、タダシさんは見事に騙されたばかりだった。
しかし今回は、本当にネタではなかったのだ。
🧘 ミクさんという不思議な人

ミクさんは不思議な人だ。
考え方は献身的で、どこか慈愛に満ちていて、
老舗のお茶屋の女将のような凛とした潔さもある。
そんな精神性を持ちながら、肉体は少しもろくて、
それでも全力で走り続けてきた。
タダシさんにとってミクさんは、人生の道を照らす灯台みたいな存在だった。
🪵 工房での大騒ぎ

ミクさんの入院が明らかになった翌日。
サンタ第2工房は、ちょっとした騒ぎになった。
タダシさんが工房の前で深刻な顔をしていると、
近所の商店街の人たちが次々と声をかけてくる。
「ミクさん入院?え?またエイプリルフール?」
「タダシさん、顔がミクさん不足って書いてあるよ」
「工房の木が泣いてる気がするんだけど」
タダシさんは苦笑いしながら、ミクさんの代わりに店を切り盛りした。
しかし、ミクさんがいない工房は、どこか音量が1つ小さい感じがした。
☕ タダシさんの胸キュンメモリー

仕事の合間、タダシさんはふと、ミクさんの姿を思い出す。
・散歩のとき、ピョコピョコ跳ねるように歩く後ろ姿
・自販機の前で「どれにしようかなぁ」と瞳をキラキラさせる顔
・クリスマスの赤いコート
・紺色のワンピース
・ライトツアーで振り向いたときの、あのゆっくりした仕草
思い出すたびに胸がキュンとして、
心拍数がバグりそうになる。
🛏️ ミクさんの入院生活は?

ミクさんは病院に1週間いた。
看護師さんに「工房の木の粉が恋しい」と言って笑われていたらしい。
そして、暇になるとタダシさんにもLINEを送ってくる。
「病院の自販機、ラインナップが渋いのよ」
「タダシさん、工房の玄関にある木、雨に濡れないように取り込んでくれた?」
「今日の病院食、木の板みたいな味だった」
タダシさんは毎回、吹き出しそうになりながら返信した。
🍫 面会の日

面会の日。
タダシさんは、ミクさんのためにとびきりのコーヒーに合うチョコレートを持って病院へ向かった。
ミクさんはベッドの上で、少しだけ弱々しいけれど、
いつものように目がキラキラしていた。
「タダシさん、来てくれたの」
「当たり前ですよ。私のたからものですから」
ミクさんは照れくさそうに笑った。
🌈 タダシさんの決心

タダシさんは心の中で決めていた。
ミクさんが退院したら、
これまで忙しすぎて体験できなかったしあわせを、
全部いっしょに回収しに行く。
コーヒー教室も、散歩も、
クリスマスライトツアーも、
自販機の前で迷う時間も。
全部、全部。
そのことを病院にいるミクさんにもラインした。
🎁 翌朝のタダシ

その夜、タダシさんは熱い決意を胸に眠りについた。
翌朝。
「うわ、恥ずかしい!」
と、布団の中で赤面していた。
でも、それでいい。
これがタダシさんの偽らざる気持ちなのだから。
ミクさんが退院したら、
サンタ第2工房はまた、木の粉と笑い声でいっぱいになる。
そしてタダシさんは、ミクさんの後ろ姿を追いながら、
ピョコピョコ歩く彼女に合わせて歩くつもりだ。





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