イベントが終わった夕方。
会場の片付けを終え、車に荷物を積み込んだころには、空はすっかりオレンジ色になっていた。
「タダシさん、今日ほんとに助かったわ。ありがとう」
「いえ、こちらこそ。子どもたちの笑顔を見られて、すごく良い経験でした」
二人は車に乗り込み、広島駅前へ向かって走り出した。
🚗帰り道の静かな達成感
車内は、イベントの熱気が少し残っていて、
でもどこか落ち着いた空気が流れていた。
「タダシさん、今日のワークショップ、説明がすごく丁寧だったわね。
親御さんたち、みんな感心してたわよ」
「ありがとうございます。ミクさんの準備が完璧だったので、やりやすかったです」
「そんなことないわよ。あなたがいてくれたから、私は安心して子どもたちと向き合えたのよ」
タダシさんは、少し照れたように視線を前に向けた。
(こういう言い方、ずるいな)
🍽打ち上げしません?
工房に戻ると、荷物を降ろしながらミクさんが言った。
「タダシさん、今日の打ち上げしません?
ちょっとだけでいいから」
「いいですね。どこか行きますか?」
ミクさんは、少しだけ悪戯っぽく笑った。
「いえ、工房でやりましょう。
ほら、例の鉄板があるじゃない?」
タダシさんは思わず吹き出した。
「また焼肉ですか?」
「ええ。イベントのあとは、焼肉がいいのよ。
疲れた体に、カルビがしみるの」
🔥工房で焼肉打ち上げが始まる
ミクさんは近所のスーパーへ走り、
たれ漬けカルビと野菜を買って戻ってきた。
工房のガスコンロに鉄板をのせると、
じゅわぁぁぁぁぁ
と音が響いた。
「タダシさん、ピーマン焼けたわよ。ほら、どうぞ」
「ありがとうございます。うまいですね、これ」
「でしょ?鉄板の力ってすごいのよ」
二人は、イベントの話をしながら焼肉をつついた。
「今日のあの子、すごく集中してたわね」
「積み木の角を触って気持ちいいって言ってましたよ」
「親御さんたちも、木育に興味持ってくれてたわね」
工房の中は、木の香りと焼肉の香りが混ざり合い、
なんとも言えないサンタ第2工房らしい空気になっていた。
🌙ミクさんの本音が少しこぼれる

カルビを焼きながら、ミクさんがぽつりと言った。
「タダシさん。今日ね、あなたが横で子どもたちを見てくれてたから、
私、すごく安心して説明できたのよ」
「そうですか。そう言っていただけると嬉しいです」
「ええ。あなたが来てくれるようになってから、
イベントも工房も、なんだか前より心強いのよね」
タダシさんは、鉄板の上のズッキーニをひっくり返しながら言った。
「ミクさんの活動が広がるなら、私も力になりたいです」
ミクさんは、少しだけ照れたように笑った。
「ありがとう」
🌅翌朝、焼肉の匂いを換気しながら
翌朝。
ミクさんは早朝出勤し、工房の扉を開けた。
「焼肉の匂い、すごいわね」
窓を開けて換気しながら、
昨日の打ち上げを思い返していた。
(楽しかったな)
木の香りと、ほんの少し残ったカルビの香りが混ざる工房で、
ミクさんは新年の準備を始めた。





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