営業⑦|医局でさらにドタバタしながら頼られる

営業のタダシ07 営業
営業のタダシ07

医局で初めて頼まれごとをされ、
「役に立つマン」へ昇格したタダシさん。

(よし、今日は、頼られるマンに進化するぞ!
昨日は、頼まれごと係だった
今日は、タダシくん、ちょっといい?と言われる係になるんだ!)

そんな決意を胸に、
タダシさんは医局へ向かった。

医局の前で慎重になる男(3日連続)

深呼吸。
深呼吸。
深呼吸。

(今日は絶対に転ばない
昨日は頼まれた
今日はもっと頼まれる
転倒キャラはもう卒業だ)

慎重にドアを開けた。

「失礼します。本日も伺いました!」

医局の空気は、もはや常連扱いだった。

「あ、タダシくんだ」
「今日も来たのか」
「転ばないようにね」
「昨日は転ばなかったから安心してるよ」

(安心されてる?
俺、医局に安心感を提供してる!?)

頼まれごと、連続発生

最初に名前を呼んでくれた医師が、
カルテを閉じてこちらを見た。

「タダシくん、ちょうどいい」

(きた!
ちょうどいいのやつ!
営業マンのご褒美ワード!)

「この機器の設定、ちょっと見てくれない?
なんか画面が暗いんだよ」

「はい!見ます!」

タダシさんは、機器の前にしゃがみこんだ。

ドタバタの始まり

画面の明るさ設定を確認しようとした、瞬間

コードに足が引っかかった。

「うわっ!」

昨日の慎重さはどこへ行ったのか、
タダシさんは見事にバランスを崩した。

しかし、今回は転ばなかった。

(よし耐えた!
俺、成長してる!)

と、思った瞬間…

機器の電源が抜けた。

「えっ」

画面が真っ暗になった。

医局がざわついた。

「え?」「暗くなったぞ?」「タダシくん、どうした?」

タダシさんは慌てて言った。

「す、すみません!今、電源が!」

医師は笑いながら言った。

「タダシくん、設定じゃなくて、電源抜けてるよ」

「す、すみません!」

医局に笑いが起こった。

さらに、ドタバタが続く

電源を戻し、設定を直し、
なんとか画面が明るくなった。

「おお、直った直った」
「タダシくん、ありがとう」
「転ばなかったし、今日は優秀だな」

(よし、今日は、転ばずに役に立った!
俺、営業マンとして成長してる!)

と、思った瞬間

別の医師が声をかけた。

「タダシくん、ちょっといい?」

(きた!
ちょっといい?のやつ!
営業マンのご褒美ワードその2!)

「この機器、音が出ないんだよ。
ちょっと見てもらえる?」

「はい!見ます!」

タダシさんは機器の裏側を覗き込んだ。

その瞬間、

頭を棚にぶつけた。

「ゴンッ!」

医局がざわついた。

「え?」「今の音、タダシくん?」
「大丈夫?」
「転ばないけど、頭はぶつけるんだな」

タダシさんは涙目になりながら言った。

「だ、大丈夫です!」

医局に再び笑いが起こった。

医局の空気がさらに柔らかくなる

音の原因は単なる設定ミスで、
タダシさんはすぐに直した。

「おお、直った直った」
「タダシくん、今日もありがとう」
「転ばないけど、頭はぶつけるんだな」
「それがタダシくんらしいよ」

(らしい?
俺、医局でキャラが確立してる!?)

医局の空気は、昨日よりさらに柔らかかった。

帰り道、タダシさんは悟る

コンビニの缶コーヒーを飲みながら、
昨日よりさらに明るい空を見上げた。

(営業って
完璧じゃなくていいんだな
転んだり、ぶつけたりしても
それでも頼られることがあるんだ)

昨日のサトウ課長の言葉がよみがえる。

  • 安心感を売る
  • 顔を売る=信頼を得る
  • 儲ける=信者をつくる

(今日のドタバタ
もしかして、安心感になったのかもしれない)

タダシさんは、
営業マンとしての成長をまたひとつ実感した。

この日、タダシさんはまだ知らない

今日のドタバタが、
医局との距離をさらに縮める大きな一歩だったことを。

そして、
後にミクさんと出会い、
「決定権は私」という価値観へつながっていく
伏線になっていることを。

物語は、まだまだ続く。

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