発達支援25:トテチテタ③

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はじめに(発達支援)

今回は就労継続支援B型作業所トテチテタでのお話です。お楽しみに!

登場人物紹介

タダシです。就労継続支援B型トテチテタの職業指導員です。

広島市の外れにある就労継続支援B型事業所トテチテタは、朝になるといつも少しだけ騒がしい。
玄関の引き戸がガラガラと開くたび、利用者さんたちの声が重なり、コーヒーの香りと混ざって、なんとも言えない温かい空気が流れ込んでくる。

チラシの束

その日のトテチテタは、いつもより少しだけざわついていた。
理由は簡単。新しいチラシのデザインが届いたのだ。

「タダシさん、このチラシ、なんか豪華ですね」

ユウタが目を輝かせる。

「ほんとだ。色が増えてる」

カズマも地図を片手に覗き込む。

チラシにはトテチテタの名前が大きく描かれ、
その下に利用者さんたちの笑顔のイラストが並んでいた。

「これ、マサトが描いたんだよ」

タダシは言った。

マサトは照れくさそうに、折り紙の袋をぎゅっと握った。

「ちょっとだけです」

「ちょっとじゃないよ。すごくいいよ」

そんなやり取りをしているうちに、今日のチラシ配りのメンバーが決まった。
ユウタ、カズマ、そしてマサト。いつもの三人だ。

風の谷で事件は起きた

商店街に出てすぐ、カズマが地図を広げた。

「今日は北ルートです。風が強いので、チラシが飛ばないように気をつけてください」

「了解です、隊長」

ユウタが敬礼する。

その横で、マサトは折り紙のドラゴンをそっとポケットにしまった。

「今日は飛ばないほうがいいです。風が強すぎます」

そんな会話をしながら歩いていると、突然ユウタが叫んだ。

「タダシさん!チラシがない!」

「え?」

ユウタの手にあったはずのチラシの束が、跡形もなく消えていた。

「さっきまであったのに!」

ユウタは慌ててポケットを探し、バッグをひっくり返し、靴の中まで確認した。

「靴の中には入らないでしょ」

タダシは思わず笑ってしまった。

「でも、ほんとにないんです!」

そのとき、カズマが地図を見ながら言った。

「タダシさん、ここは風の谷です」

「風の谷?」

「はい。風が強くて、物がよく飛ぶ場所です。チラシも飛んだ可能性があります」

タダシは空を見上げた。
確かに、春の風が商店街の旗をばたばた揺らしている。

「じゃあ、探そうか」

三人はうなずき、チラシ捜索隊が結成された。

駄菓子屋の前で

チラシを探しながら歩いていると、ふと懐かしい匂いがした。

駄菓子屋の匂いだ。

タダシは足を止めた。

店の前には色あせたのれん。
ガラスケースには10円のラムネ菓子や30円のチョコスナックが並んでいる。

「タダシさん、どうしたんですか?」

ユウタが首をかしげる。

「いやちょっと懐かしくてね」

タダシは店の前に立ちながら、子どもの頃の自分を思い出していた。

100円玉を握りしめて、
80円のお菓子にするか、
60円のお菓子にして20円のラムネを足すか、
何度も何度も悩んだあの時間。

あれは、なんとも言えず好きな時間だった。

「タダシさん、これ」

マサトが指さした。

駄菓子屋の入り口に、トテチテタのチラシが一枚、ぺたりと貼られていた。

「これ、ユウタのチラシじゃない?」

「ぼく、貼ってないです!」

駄菓子屋のおばあちゃんが出てきた。

「ああ、それね。風で飛んできたんよ。
せっかくだから貼っといた」

ユウタは目を丸くした。

「ぼくのチラシ、風に乗って宣伝してくれたんだ!」

「そういうことになるね」

タダシは笑った。

帰り道

事業所に戻る途中、ユウタが言った。

「タダシさん、ぼく駄菓子屋好きだったんですよ。
100円でどれ買うか、めっちゃ悩んでました」

「うん、わかるよ」

「今日、久しぶりに思い出しました。
なんか、あの頃のぼくに会ったみたいで」

タダシの胸がふっと温かくなった。

「俺もだよ」

カズマが地図を見ながら言った。

「タダシさん、今日のルート思い出ルートでしたね」

「そうだね。いいルートだった」

マサトは折り紙のドラゴンを取り出し、そっと風に当てた。

「今日は飛ばないけど
また、風が優しい日に飛びます」

春の風が、三人の笑い声をやさしく包んだ。

おしまいに(発達支援)

タダシです。

まだまだ、修行が足りませんね。

トホホ、です……(泣

この物語は、こちらの就労継続支援B型事業所「ふるーる」をモデルにして作成しています。Googleマップ

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