広島市の就労継続支援B型作業所「トテチテタ」。
今日もタダシさんは、木工室で宮島のお土産品づくりを見守っていた。
木の香りがふわっと漂う、
なんとも落ち着く場所だ。
のはずなのだが。
今日の主役は「興味が持てない」ソウタくん
ソウタくんは、作業に興味が持てないタイプだ。
木材を前にして、
まるで未知の生命体を見るような目をしている。
「ソウタくん、今日はこのパーツを」
「あんまり興味ないんですよね」
(興味ないって、はっきり言うタイプだ!)
タダシさんは少し焦った。
水面上だけ見ると「やる気がない人」
タダシさんは、目に見える行動だけを見ていた。
- 作業に取り掛からない
- ぼーっとしている
- 進みが遅い
(どうしたらいいんだろう)
焦る気持ちが先に立つ。
水面下には「意味づけができない」という理由があった
昼休憩のとき、ソウタくんがぽつりと言った。
「この作業、何のためにやってるのか、分からなくて
ただ木を削ってるだけだと、やる気が出ないんです」
タダシさんはハッとした。
(興味がないのは怠けじゃなくて意味が見えないからだったんだ!)
ソウタくんは続けた。
「誰が使うのかとか、どこに置かれるのかとか
そういうのが分かると、ちょっとやる気出るんですけど」
水面下には、
- 作業の意味が分からない
- 目的が見えないと興味が湧かない
- 完成形がイメージできない
- 誰のためになるかが分かると動ける
という理由があった。
タダシさん、改善策を考える(そしてまた少し失敗する)
翌日、タダシさんは張り切って
「お土産品の完成写真」を見せようとした。
しかし
「タダシさん、この写真なんか怖いです」
(また!?)
タダシさんが撮ったお土産品の写真が、
なぜか怪談の表紙みたいになっていた。
「いやいや、これは宮島の飾りで
なんでこんなホラー感が」
タダシさんは自分の写真の水面下に気づいた。
それでも、改善は進む
タダシさんは写真をやめ、
実物のお土産品を持ってきた。
「ソウタくん、これが完成形だよ。
観光客の人が手に取ってくれるんだ」
すると
「え、これになるんですか?
なんか急にやる気出てきました」
さらに、
- どこで売られているか
- どんな人が買うのか
- どんなふうに飾られるのか
を説明した。
すると
「じゃあ、丁寧に作らないとですね!」
ソウタくんは、
作業に取り組む時間がぐっと増えた。
タダシさんの学び
タダシさんは思った。
興味が持てないのは、やる気の問題じゃない。
意味づけができないという水面下の理由がある。
作業の目的や完成形を伝えることで、やる気は自然に生まれる。
トテチテタの木工室には、
今日も木の香りと、
ゆっくりと前に進む人たちの物語が流れている。




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