広島市の就労継続支援B型作業所「トテチテタ」。
今日もタダシさんは、木工室で宮島のお土産品づくりを見守っていた。
木の香りがふわっと漂う、
なんとも落ち着く場所だ。
のはずなのだが。
誤解されやすいレンくん
レンくんは、言葉が少なく、
表情もあまり変わらないタイプだ。
そのせいで
「レンくん、怒ってる?」
「なんか機嫌悪そうじゃない?」
と、周りから誤解されることが多い。
今日も、木工室の隅で
カズさんがぼそっと言った。
「レンくん、なんか冷たいよなぁ」
(あ、また誤解が始まった)
タダシさんは少し焦った。
水面上だけ見ると「冷たい人」「無愛想な人」
タダシさんは、目に見える行動だけを見ていた。
- 表情が少ない
- 言葉が少ない
- リアクションが薄い
(どうしたら誤解が減るんだろう)
焦る気持ちが先に立つ。
水面下には「意図の伝わりにくさ」があった
昼休憩のとき、レンくんがぽつりと言った。
「怒ってないんですけど、
どう反応したらいいか、分からなくて」
タダシさんはハッとした。
(誤解されるのは性格じゃなくて特性だったんだ!)
レンくんは続けた。
「表情を作ろうとすると、
逆にぎこちしくなってしまって
どうしたらいいか分からないんです」
水面下には、
- 表情の作り方が分からない
- 反応のタイミングが分からない
- 過去の経験で間違った反応を怖がっている
- 意図は優しいのに伝わりにくい
という理由があった。
タダシさん、改善策を考える(そしてまた少し失敗する)
翌日、タダシさんは張り切って
「表情の練習」を提案した。
しかし
「レンくん、まずは笑顔の練習から
タダシさんがやってみるね!」
にこっ(タダシさんのぎこちない笑顔)
「タダシさん、それ怖いです」
(また!?)
タダシさんの笑顔が、
なぜかホラー映画の登場人物みたいになっていた。
「いやいや、これは笑顔で
なんでこんな怪しい感じに」
タダシさんは自分の表情の水面下に気づいた。
それでも、改善は進む
タダシさんは表情練習をやめ、
誤解が起きにくいコミュニケーションを考えた。
- レンくんの意図を言語化して補う
- 周囲に「レンくんは怒ってないよ」と伝える
- レンくんが話しやすいタイミングを作る
- 作業の合間に短い会話を入れる
すると
「レンくん、さっきのは、ありがとうって意味だよね?」
「はい、そうです」
「ほら、カズさん。レンくん、怒ってないよ」
「え、そうなん?よかった〜」
誤解が少しずつほどけていった。
タダシさんの学び
タダシさんは思った。
人間関係のトラブルは、性格の問題じゃない。
意図の伝わりにくさという水面下の理由がある。
誤解をほどくためには、言語化と橋渡しが大事なんだ。
トテチテタの木工室には、
今日も木の香りと、
ゆっくりと前に進む人たちの物語が流れている。




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