発達支援24:トテチテタ②

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はじめに(発達支援)

今回は就労継続支援B型作業所トテチテタでのお話です。お楽しみに!

登場人物紹介

タダシです。就労継続支援B型トテチテタの職業指導員です。

広島市の外れにある就労継続支援B型事業所「トテチテタ」は、朝になるといつも少しだけ騒がしい。
玄関の引き戸がガラガラと開くたび、利用者さんたちの声が重なり、コーヒーの香りと混ざって、温かい空気が流れ込んでくる。

地図帳

トテチテタの朝は、いつも誰かの声で始まる。
その日の最初の声は、事務所の奥から聞こえてきた。

「タダシさーん!今日のルート、ぼくが決めていいですか!」

声の主はカズマ。
二十代前半で、地図が大好きな利用者さんだ。

地図帳を開くと、まるで宝物を見つけた子どものように目が輝く。

「いいよ。でも昨日みたいに最短ルートを追い求めすぎて、細い路地に迷い込まないようにな」

「今日は大丈夫です!完璧です!」

カズマは胸を張り、手作りの地図を広げた。

コピー用紙に色鉛筆で描かれたその地図は、
実際の町よりも少しだけ道が多く、そして少しだけ夢が混ざっている。

ドラゴン

出発前、もう一人の利用者マサトが折り紙を持って近づいてきた。

「タダシさん、見てください。ドラゴンできました」

マサトは寡黙だが、折り紙を折るときだけは別人のように集中する。
今日のドラゴンは、翼が左右で微妙に違っていて、それがまた味になっていた。

「すごいな。今日のドラゴン、ちょっと強そうだ」

「強いです。今日は風が強いので、飛べます」

マサトは真顔で言った。

タダシは笑いをこらえきれず、肩を震わせた。

「じゃあ、チラシ配りの守り神だな」

「はい。カズマさんの地図を守ります」

カズマは照れくさそうに笑った。

商店街へ

商店街に出ると、パン屋の前で焼きたての香りが漂ってきた。

カズマは地図を見ながら慎重に歩く。

「ここを右に行くと、昨日は行き止まりでした。でも今日は左です。完璧です」

「うん、今日は順調だな」

カズマは得意げにうなずき、ポストへチラシを入れた。

その横で、マサトが折り紙のドラゴンを風に乗せて遊ばせている。

「マサト、飛んでるな」

「はい。今日は風がいいです」

ドラゴンはひらひらと揺れながら、まるで町を見守るように舞っていた。

地図の力

しばらく歩いたところで、カズマが立ち止まった。

「タダシさん、ここでチラシを配るとあと何軒残りますか?」

「えっと、」

タダシがチラシの束を数えようとした瞬間、カズマはすでに答えを出していた。

「あと22軒です。この通りが12軒で、次の通りが10軒なので」

「すごいな。地図、全部覚えてるのか?」

「覚えてるというかなんか、見えるんです。
頭の中に、道がこう」

カズマは空中に指で線を描いた。

その線は、彼の中ではきっと本当に道なのだろう。

タダシはその姿を見ながら思った。

この子の得意は、机の上じゃ育たなかったんだろうな。

地図を眺めて、道を歩いて、自分の足で確かめてきたからこそ育った力だ。

でも、それを言葉にする必要はない。
カズマの横顔がすべてを語っていた。

八百屋の屋根

そのとき、マサトの声が響いた。

「タダシさん!ドラゴンが!」

見ると、折り紙のドラゴンが風に乗って、八百屋の屋根の上にひらりと落ちてしまった。

「うわ、あそこか」

カズマが地図を見ながら言った。

「タダシさん、ここはドラゴン救出ルートがあります」

「そんなルート、地図にあったっけ?」

「あります。裏道です」

カズマは自信満々に裏道へ案内した。

細い路地を抜けると、八百屋の裏手に出た。

そこには、ちょうど脚立を片付けていた八百屋のおじさんがいた。

「おじさん、ドラゴンが屋根に」

「ああ、これか。さっき落ちてきたやつだな」

おじさんは笑いながらドラゴンを渡してくれた。

マサトは胸に抱きしめ、深く頭を下げた。

「ありがとうございます。このドラゴンは、今日の風に必要なんです」

「そうかい。じゃあ大事にしな」

おじさんは笑って店に戻っていった。

帰り道

事業所に戻る途中、カズマがぽつりと言った。

「ぼく、地図が好きでよかったです」

「うん。今日も助かったよ」

「ドラゴン救出ルート、完璧でした」

マサトが真顔でうなずく。

「ドラゴンも喜んでいます」

タダシは思わず吹き出した。

「二人とも、今日はいいチームだったな」

春の風が、三人の笑い声を運んでいった。

おしまいに(発達支援)

タダシです。

まだまだ、修行が足りませんね。

トホホ、です……(泣

この物語は、こちらの就労継続支援B型事業所「ふるーる」をモデルにして作成しています。Googleマップ

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