第69話 小箱15個の挑戦と厳しい検品

悩んでもいい第69話 サンタ第2工房
悩んでもいい第69話
はじめに(サンタ第2工房)

この物語は、私が大好きな木のおもちゃ屋さんをモチーフにして作成しました。主人公のミクさんは、妹の孫の名前からつけています。お気に入りに追加していただけたらうれしいです。

登場人物紹介

職人見習のタダシです。

サンタ第2工房のミクです。

広島駅前徒歩8分。
サンタ第2工房は、年末のクリスマス準備で大忙しだった。

そんなある日の午後。
ミクさんは作業台で積み木を並べながら、タダシさんに声をかけた。

「タダシさん、お願いがあるの。
このシナベニヤ板で、小箱を作ってほしいの」

タダシさんは、少し驚いた顔で近づいた。

「積み木を入れる箱ですか?」

「そう。上から蓋をかぶせるタイプ。
ぴったりすぎると取り出せなくなるから、3mmの余裕をお願いね。
納期は来週の金曜日まで。数量は15個」

タダシさんは、少し考えた。
微妙なラインだが、土日の休みを使えばできそうだった。

そして、何より

(いつも忙しそうなミクさんの仕事を、少しでも楽にしてあげたい)

以前、ミクさんが言った
「生き急いでる感じがする」
という言葉が、タダシさんの胸に残っていた。

「わかりました。やってみます」

ミクさんは、安心したように微笑んだ。

土日の挑戦

その週末。
タダシさんは、少し無理をしながらも、
小箱15個を仕上げた。

さらに

(念のため、予備を1個作っておこう)

合計16個の小箱を抱えて、
月曜日の朝、サンタ第2工房へ向かった。

「ミクさん、できました!」

ミクさんは目を丸くした。

「えっ、もう?
納期よりずいぶん早いじゃない。すごいわね」

タダシさんは、照れながら箱を並べた。

ミクさんは、一つひとつ丁寧に検品を始めた。

ミクさんの顔が険しくなる

最初は笑顔だったミクさんの表情が、
箱を手に取るたびに少しずつ険しくなっていった。

そして。

「タダシさんこの箱、残念だけど売り物にならないわ」

タダシさんは、息をのんだ。

「えっ?」

ミクさんは、申し訳なさそうに続けた。

「言ってなかった私が悪いんだけど、
シナベニヤの合わせ目で隙間ができちゃってるし、
周りの板が段違いになっているところが、所々あるの」

タダシさんは、胸がぎゅっと締めつけられた。

(あんなに頑張ったのに)

でも、ミクさんは責めるような言い方はしなかった。

「あなたが頑張ったのはわかるわ。
でも、これはお客様に渡せないの。
もう一度作り直しましょう」

タダシさんは、静かにうなずいた。

「はい。やり直します」

そして金曜日

タダシさんは、再び土日を使って作り直した。
前よりも丁寧に、慎重に、ゆっくりと。

そして
約束の金曜日。

「ミクさんできました」

ミクさんは箱を手に取り、
ゆっくりと検品を始めた。

前回とは違い、表情はどんどん柔らかくなっていく。

「タダシさん。
今回は、すごくいい出来よ」

タダシさんは、ほっと息をついた。

「本当ですかよかった」

ミクさんは、少し照れたように笑った。

「あなたが頑張ってくれたおかげで、
クリスマス準備がすごく助かったわ。ありがとう」

タダシさんは、胸の奥がじんわり温かくなった。

(ミクさんの役に立ててよかった)

工房には、木の香りと、
二人の静かな達成感がふわっと漂っていた。

おしまいに(サンタ第2工房)

タダシです。読んでいただいて、ありがとうございます!

ミクです。今日も一日お疲れ様でした。

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