第70話 幸せのレッスン

悩んでもいい第70話 サンタ第2工房
悩んでもいい第70話
はじめに(サンタ第2工房)

この物語は、私が大好きな木のおもちゃ屋さんをモチーフにして作成しました。主人公のミクさんは、妹の孫の名前からつけています。お気に入りに追加していただけたらうれしいです。

登場人物紹介

職人見習のタダシです。

サンタ第2工房のミクです。

広島駅前徒歩8分。
サンタ第2工房の午後。
木の香りが漂う中、タダシさんは作業台で図面を見つめながら、
ふとため息をついた。

「ミクさん幸せって、なんなんでしょうね」

突然の哲学的な質問に、ミクさんは工具を置いて振り返った。

「また難しいこと考えてるわね。どうしたの?」

「いや。世の中、貧富の差とか、不安とか
幸せって、考えてもよくわからないなと思って」

ミクさんは、少し笑った。

「じゃあ、今日は幸せのレッスンね。
タダシさん、座って」

タダシさんは、素直に椅子に座った。

ミクさん、幸せの基本を語る

「まずね、幸せってひとりひとり違うのよ」

「違うんですか?」

「当たり前でしょ。
あなたの幸せと、私の幸せは違うし、
人生のその時々で定義も変わるの」

ミクさんは、作業台の端に手を置いて続けた。

「だから、幸せを考えて結論を出そうとするのは無理なのよ」

タダシさんは、目を丸くした。

「えっ?じゃあ、どうしたらいいんですか?」

ミクさん、水泳の例えで説明する

「初めて水泳を習ったときのこと思い出してみて」

「溺れかけました」

「そういうのじゃなくて。
泳げるようになったとき、どう思った?」

「楽しかったです。達成感もありました」

「でしょ?
でもその途中には苦しさもあったし、怖さもあったはずよね」

「はい」

「つまりね、幸せってその時々の感情の積み重ねなの。
苦しさも、後から見れば幸せの一部だったりするのよ」

タダシさんは、深くうなずいた。

ミクさん、ことわざでさらに深める

「東洋でも西洋でも、幸せは最後にわかるって言われてるのよ」

「最後ですか?」

「そう。人間万事塞翁が馬。
幸せが不幸に、不幸が幸せにいつ転じるかわからない。
だから、安易に喜んだり悲しんだりする必要はないの」

タダシさんは、感心したように息をのんだ。

「なるほど。深いですね」

「深いのよ。
でも、難しく考えなくていいの」

神様が見えない24|人間万事塞翁が馬?
「お父さん、ちょっと聞きたいんだけど」夜の10時過ぎ。リビングのテーブルでノートを広げ、「幸せの直行便」「経由地を気にせず希望の星を目指せ」「ハワイへ歩いていくダイナミズム」「人間万事塞翁が馬」と、生きづらさを抱える人へ向けた熱いメッセージ…

ミクさん、神様の時間を教える

「タダシさん、神様の時間って知ってる?」

「えっ?なんですか、それ」

「欲しいものが今じゃなくて、
もっと先になって手に入ることよ」

ミクさんは、昔の地理の先生の話を思い出しながら言った。

「ハワイは毎年数十センチ近づいてるから、
いつか歩いて行けるようになるって言われたのよ」

タダシさんは吹き出した。

「それ、何万年かかるんですか」

「知らないわよ。
でもね、幸せも同じ。
今じゃなくても、いつか来るって信じることが大事なの」

ミクさん、幸せの願い方をレクチャーする

「タダシさん。
幸せを願うとき、方向性を間違えちゃダメよ」

「方向性?」

「たとえば――」

  • 病気が治ったら幸せ
  • 成績が上がったら幸せ
  • かっこよくなったら幸せ

「これ全部、幸せの直行便だと思ってるけど、
実はそうじゃないの」

「えっ?」

「病気の人が幸せを感じる瞬間は、
他人への奉仕だったり、
病室から見える枯れ葉だったりするのよ」

タダシさんは、静かに聞いていた。

「つまりね、幸せの必要条件なんて存在しないの」

ミクさん、最後に希望の星を置く

「タダシさん。
幸せはね、あなたが望む形でいつか手に入るのよ」

「いつか」

「そう。
その時期はあなたが決めるんじゃなくて、
神様の時間でやってくるの」

ミクさんは、優しく言った。

「だから、今は希望の星だけ持っていればいいの。
幸せになった自分の姿を、ぼんやりイメージしておくのよ」

タダシさんは、胸の奥がじんわり温かくなった。

「ミクさん。なんだか、すごく心が軽くなりました」

「ならよかったわ。
タダシさんにも、タダシさんなりの幸せがちゃんと準備されてるからね」

工房には、木の香りと、
ミクさんの幸せのレッスンで、
少し前向きになったタダシさんの気配が
静かに漂っていた。

おしまいに(サンタ第2工房)

タダシです。読んでいただいて、ありがとうございます!

ミクです。今日も一日お疲れ様でした。

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