第68話 量子もつれ?

悩んでもいい第68話 サンタ第2工房
悩んでもいい第68話
はじめに(サンタ第2工房)

この物語は、私が大好きな木のおもちゃ屋さんをモチーフにして作成しました。主人公のミクさんは、妹の孫の名前からつけています。お気に入りに追加していただけたらうれしいです。

登場人物紹介

職人見習のタダシです。

サンタ第2工房のミクです。

広島駅前徒歩8分。
サンタ第2工房の朝。
タダシさんは作業台で端材を整理しながら、昨夜のことを思い返していた。

(実家で寝る前にテレビつけたら、NHKで量子もつれの番組やってたんだよな
あれはすごかった。理解できなかったけど、すごかった)

量子が宇宙の果てと果てまで離れていても、
まるでテレパシーみたいに同じ動きをする――らしい。

アインシュタインでさえ
「そんなことあるはずがない」
と言ったという。

(いやぁ。宇宙ってすごい)

タダシさんは興奮しながら作業していた。

そこへミクさんがやってきた。

「タダシさん、なんかニヤニヤしてるけど、どうしたの?」

「ミクさん、聞いてくださいよ。昨日、量子もつれの番組を見たんです!」

ミクさんは、工具を置いてそちらを見た。

「量子?」

「はい!量子です!
量子って、宇宙の果てまで離れてても、テレパシーみたいに同じ動きをするんですよ!
アインシュタインですらそんなことあるはずがないって言ったのに、
半世紀かけて証明されたんです!」

ミクさんは、完全に無表情になった。

「へぇ」

(あ、これ興味ないやつだ)

ミクさん、一般女性らしい興味ゼロ反応

「ミクさん、ベルの不等式っていうのがあってですね、
不等号が破れたら偶然じゃないって証明できるらしくて――」

「不等号?」

「はい!つまり、量子がシンクロしてるのは偶然じゃなくて、
何らかの意思が働いてる可能性が――」

「タダシさん」

ミクさんは、ピシャリと言った。

「私はね、量子とか宇宙とか、そういうの全然興味ないのよ」

「ですよね」

「でも、あなたが楽しそうなのはわかるわ」

ミクさんは、少し笑った。

「それで十分よ」

ミクさん、興味ゼロなのに指導者としてかっこいい

「タダシさん。
あなたは難しいことを面白がれるタイプなのよね」

「はい。好きです。宇宙とか量子とか理解できないけど好きです」

「理解できなくてもいいのよ。
大事なのは、あなたが面白がっているってこと」

ミクさんは、作業台の端に手を置いて続けた。

「人はね、楽しそうにしている人のところに集まるの。
あなたが量子の話をしてるとき、すごく楽しそうだったわよ」

タダシさんは、少し照れた。

「でも、ミクさん、興味ないですよね?」

「興味はないわよ。
でも、あなたが楽しそうなら、それは工房にとってプラスなの」

「プラスですか?」

「そう。
あなたが楽しそうにしていると、空気が柔らかくなるの。
それが人が集まる技術よ」

ミクさんは、さらっと言った。

「だから、量子の話は理解できないけど、
あなたが語るのは止めないわ。
あなたの楽しさは、工房の財産だから」

私は、胸の奥がじんわり温かくなった。

(ミクさん興味ゼロなのに、なんかかっこいい)

最後にミクさんがひと言

「でね、タダシさん」

「はい」

「量子もつれより、まずは今日の納品をシンクロさせてちょうだい」

「はい」

ミクさんは、興味ゼロでも、
いつも私を現実に引き戻してくれる。

その姿が、なんだかとても頼もしかった。

工房には、木の香りと、
量子の話をして浮かれている私を
軽くいなしながら導くミクさんの気配が
静かに漂っていた。

神様が見えない27|量子もつれ?
「お父さん、ちょっと聞きたいんだけど」夜の10時過ぎ。リビングのテーブルでテレビのメモとノートを広げ、「量子もつれ」「ベルの不等式」「ルルドの奇跡」「宇宙の果てで100%シンクロ」と脈絡のない激しい単語を並べ立てていた私に、妻が温かいほうじ…
おしまいに(サンタ第2工房)

タダシです。読んでいただいて、ありがとうございます!

ミクです。今日も一日お疲れ様でした。

おつきさまパズル

商品や制作工程を取材させていただいた実際の店舗をご紹介いたします。この物語はフィクションで登場人物と実在の人物とは全く関係ありません。上記商品はふるさと納税返礼品に登録されている「お月さまパズル(ウッドデザイン賞受賞作品)」です。このお店でもインターネット経由でご注文とお支払いができます。どうぞご利用ください(PRです)。tamuro-mokuzai.jp

サンタ第2工房
シェアする

コメント

タイトルとURLをコピーしました