医局で「転ぶマン」「頭ぶつけマン」「頼られるマン」「安心感マン」と
キャラが増殖し続けているタダシさん。
しかし今日は違った。
(よし。今日は、相談されるマンになるぞ!
昨日は、安心感マンだった
今日は、もっと、営業マンらしい活躍をするんだ!)
そんな決意を胸に、
タダシさんは医局へ向かった。
医局の前で慎重になる男(6日連続)
深呼吸。
深呼吸。
深呼吸。
(今日は、絶対に転ばない
絶対に、頭をぶつけない
絶対に、コードを踏まない
俺は今日、相談されるんだ!)
慎重にドアを開けた。
「失礼します。本日も伺いました!」
医局の空気は、もはやタダシくん、今日も来たねの常連扱いだった。
「あ、タダシくんだ」
「今日も来たのか」
「昨日は電源コード差してたよね」
「今日は何を直すの?」
(直す前提!?
俺、医局で修理係になってる!?)
医局の空気がいつもと違う(2回目)
昨日も名前を呼んでくれた医師が、
カルテを閉じてこちらを見た。
「タダシくん、ちょっと相談があるんだけど」
タダシさんは固まった。
(え?相談?相談ってあの相談!?俺、今日相談されるマン!?)
医師は続けた。
「この症例で使うデバイスなんだけど、
サイズが微妙でね。どっちがいいと思う?」
タダシさんは、思わず資料を落としそうになった。
(え?
俺にサイズの相談?
昨日まで電源コード差してただけなのに!?)
医局の空気がピリッとした。
タダシさん、慎重にデバイスを見る
タダシさんは、デバイスを手に取った。
(昨日は、電源コード差しただけ
今日はサイズの相談。
これ、営業マンとしての大仕事!?)
慎重に、慎重に
ゴンッ。
「え?」
医局がざわついた。
「今の音、タダシくん?」
「また、ぶつけた?」
「今日は相談の日なのに、ぶつけるんだな」
タダシさんは涙目になりながら言った。
「だ、大丈夫です!」
医局に笑いが起こったが、
すぐに空気は真剣に戻った。
タダシさん、ついに相談に答える
タダシさんは、デバイスを慎重に見ながら言った。
「先生の症例なら、
こっちのサイズのほうが安全だと思います。
理由は」
医師は真剣に聞いてくれた。
「なるほどありがとう、タダシくん。
やっぱり相談してよかったよ」
(え?相談してよかった!?俺、今日相談されるマンになった!?)
胸の奥がじんわり熱くなった。
さらに相談が続く
別の医師が声をかけてきた。
「タダシくん、ちょっといい?」
(きた!
相談されるマンのご褒美ワード!)
「この症例、デバイスの選択が難しくてさ。
メーカーの視点でどう思う?」
「はい!見ます!」
タダシさんは、慎重にデバイスを確認した。
(今日は絶対にぶつけない
今日は相談されるマンなんだ!)
慎重に、慎重に
ゴンッ。
「え?」
医局がざわついた。
「またぶつけた?」
「相談の日なのにぶつけるんだな」
「タダシくんらしいよ」
タダシさんは涙目になりながら言った。
「だ、大丈夫です!」
しかし
相談にはしっかり答えた。
医師はうなずいた。
「ありがとう、タダシくん。
やっぱり頼りになるよ」
(頼りになる!?
俺、今日相談されるマンであり頼りになるマン!?)
胸の奥がじんわり熱くなった。
医局を出た瞬間、タダシさんは悟る
廊下に出たタダシさんは、
資料を抱えながら深く息をついた。
(相談って、
こんなに嬉しいものだったんだ)
昨日のサトウ課長の言葉がよみがえる。
- 安心感を売る
- 顔を売る=信頼を得る
- 儲ける=信者をつくる
(今日の相談、
もしかして、信者の第三歩なのかもしれない)
タダシさんは、
営業マンとしての成長を、またひとつ実感した。
この日、タダシさんはまだ知らない
今日の相談される瞬間が、
医局との距離をさらに縮める大きな一歩だったことを。
そして、
後にミクさんと出会い、
「決定権は私」という価値観へつながっていく
伏線になっていることを。
物語は、まだまだ続く。


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