発達支援28:トテチテタ⑥

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はじめに(発達支援)

今回は就労継続支援B型作業所トテチテタでのお話です。お楽しみに!

登場人物紹介

タダシです。就労継続支援B型トテチテタの職業指導員です。

広島市の外れにある就労継続支援B型事業所「トテチテタ」は、朝になるといつも少しだけ騒がしい。
玄関の引き戸がガラガラと開くたび、利用者さんたちの声が重なり、コーヒーの香りと混ざって、なんとも言えない温かい空気が流れ込んでくる。

今日のチャレンジ

その日は、朝から空が澄んでいた。
雲ひとつない青空が広がり、風はやわらかく、まるで「今日は特別な日ですよ」と言っているようだった。

トテチテタの玄関を開けると、ユウタ、カズマ、マサトの三人がすでに揃っていた。

「タダシさん、今日は」

ユウタが少し照れたように言った。

「ぼくたち、三人で行きたいです。タダシさんは、後ろから見ててください」

「え、俺いらないの?」

「いらなくはないです!でも」

ユウタは胸を張った。

「ぼくたち、もう大丈夫です」

タダシの胸の奥がじんわり温かくなった。

「そっか。じゃあ、今日は見守り隊で行くよ」

三人はうれしそうにうなずいた。

探検隊

商店街に出ると、ユウタがチラシを抱え、
カズマが地図を広げ、
マサトが折り紙のドラゴンをそっと風に当てた。

「今日は飛べます」
マサトが言った。

「風、ちょうどいいです」

ドラゴンはひらりと舞い、春の空に小さな影を落とした。

「じゃあ、行きます!」

ユウタが声を上げる。

三人は、まるで冒険に出る子どもたちのように、軽い足取りで歩き始めた。

八百屋のおばちゃんが手を振る。

「今日も頑張っとるねえ!」

「はい!今日は最終ミッションです!」

ユウタが胸を張る。

パン屋のおじさんが笑う。

「お、ドラゴン飛んどるなあ」

「今日は、風がいいので」

マサトが真顔で答える。

カズマは地図を見ながら、いつもの裏道へ三人を導いた。

「ここは風避けルートです。今日も完璧です」

町の人たちは、三人を見ると自然に笑顔になった。
まるで、三人がこの町のちいさな名物になっているようだった。

三人の背中

タダシは少し離れたところから、三人の背中を見つめていた。

ユウタは、チラシを丁寧に配りながら、時々住民の人に話しかけている。

カズマは、地図を見なくても道を覚えていて、迷うことなく三人を導いている。

マサトは、折り紙のドラゴンを風に乗せながら、時々落ちそうになるチラシをそっと押さえている。

(ああ、この子たちほんとに成長したな)

胸の奥が、じんわりと熱くなった。

最後の一軒

最後の一軒に着いたとき、三人は顔を見合わせた。

「ここが最後です」
カズマが言う。

「じゃあ、ぼくが入れます!」
ユウタがチラシを取り出す。

マサトはドラゴンをそっと空に放った。

ドラゴンは春の風に乗って、ゆっくりと舞い上がった。

ユウタは深呼吸して、最後のチラシをポストに入れた。

「完了!」

三人は同時にガッツポーズをした。

タダシは思わず拍手した。

「三人とも、すごいよ。今日のチラシ配り、完璧だった」

ユウタは照れくさそうに笑い、
カズマは地図に完了の印をつけ、
マサトはドラゴンを抱きしめた。

チラシ配りの午後

事業所に戻ると、三人はそれぞれの席に座り、静かに作業を始めた。

タダシは事務所の窓から外を眺めた。

春の風が、さっき飛んだ折り紙のドラゴンを、どこか遠くへ運んでいくように見えた。

(この子たちの未来も、きっとこんなふうに、どこかへ続いていくんだろうな)

そう思うと、胸の奥があたたかく満たされた。

夕方

夕方、三人が帰るとき、ユウタが振り返って言った。

「タダシさん、また明日も一緒に歩きましょうね!」

「うん。もちろん」

カズマは地図を抱えながら言った。

「明日は新ルートを考えてきます」

マサトは、折り紙のドラゴンを差し出した。

「今日のドラゴンです。タダシさんに、あげます」

タダシは受け取りながら言った。

「ありがとう。大事にするよ」

三人が帰っていく背中を見送りながら、タダシはそっとつぶやいた。

「いい一日だったな」

トテチテタの看板が、夕陽に照らされて、やさしく光っていた。

おしまいに(発達支援)

タダシです。

まだまだ、修行が足りませんね。

トホホ、です……(泣

この物語は、こちらの就労継続支援B型事業所「ふるーる」をモデルにして作成しています。Googleマップ

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