神様が見えない36|ボランティア?

神様が見えない
はじめに(神様が見えない)

以前書いていたブログ「神様が見えない」からリメイクして転載いたしました。

登場人物紹介

ミクの夫です。こんばんは!

ミクです。あなた、今日は何をやらかすのかしら?

「お父さん、ちょっと聞きたいんだけど」

夜の10時過ぎ。リビングのテーブルでノートを広げ、「埼玉での小学生教室」「移住者サポート(日本語・学習・医療・法律)」「一歩引いてサポートするスキル」「傾聴と忍耐」「共感はキリストに倣う」と、社会奉仕と深い人間愛が詰まったメモを真剣な顔で書き連ねていた私に、妻が温かいほうじ茶を差し出しながら声をけてきた。

「さっきから主導権を握らず一歩引くのが真のサポートなのだ!とか傾聴講座で養った共感力!って、一人で何のボランティア決起集会を開いているの?」

「ふふふ、妻よ。よくぞ聞いてくれた」

私はほうじ茶を一口すすり、地域社会の多文化共生を支えるベテランボランティアかのような温かな眼差しで語り始めた。

「海外からの移住者支援と、ボランティアの心得について思索していたのだよ!埼玉にいた頃、小学生向けの学習教室をやっていたのだが、言葉や文化の壁に悩むご家族を支えるには、日本語指導だけでなく法律や医療、そして何より一歩引いて相手の心に寄り添うスキルが必要なのだ。自分が前に出ず、相手の自立を静かに支えるこれぞキリストの愛に通じる誠実さと傾聴の精神なのだよ!」

私が熱っぽく「一歩引くサポートの美学」と「傾聴の大切さ」について語り尽くすと、妻はほうじ茶をすすりながら、じとーっとした目を向けた。

「へぇ。でしゃばらずに一歩引き、相手の話をじっくり聞く傾聴の心ねぇ」

「うむ!相手を仕切ろうとせず、謙虚に話を聴き、陰からそっと支えることこそが真の奉仕なのだよ!」

「じゃあ、お父さん。さっきから私が明日のゴミ出しの分別、どう分けるんだっけ?って聞いているのに、よし!僕が指示を出すからお母さんはその通りに袋に入れて!って腕まくりして、仕切りたがり全開で指示厨になっているのは誰かしら?」

「えっ?」

妻はニコニコしながら、勝手口の横に積み上がったプラスチックごみとペットボトルの山を指さした。

「一歩引く美学や傾聴のスキルをノートに熱弁する前に、我が家でも仕切りたい欲を抑えて、私の話を静かに聞いたらどうなの?自分の家では一歩引くどころかド真ん中で指示を出したがるなんて、傾聴講座の成果はどこに行ったのかかしら?」

「ぐっ!な、なぜそれを!あれは家庭内の効率的なタスク遂行を目指し、キャプテンシーを発揮していたのであって!」

痛いところを突かれ、私は大汗をかいて言葉に詰まる。

「言い訳しないの!移住者支援の素晴らしい精神を語るなら、まずは我が家で一歩引いて、私の指示に黙って従いながらゴミ出し準備をしなさいな」

妻の容赦ないツッコミに、私は完全に降参した。

「御意。ただちに己の出しゃばり癖と仕切りたがり精神を深く反省し、一歩引いて妻のお言葉に耳を傾け、完璧にゴミ出しのサポートを遂行してまいります」

海外からの移住者へ寄せる愛とボランティアの真髄に思いを馳せつつも、家庭内での「仕切りたがり」な性格をあっさり見抜かれて苦笑いする私。
妻の愛あるツッコミに感謝しながら、私はノートを閉じ、我が家の平和と明日のゴミ出しを守るべく、静かにほうじ茶を飲み干すのだった。

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