神様が見えない56|リッチ・デヴォス?

神様が見えない
はじめに(神様が見えない)

以前書いていたブログ「神様が見えない」からリメイクして転載いたしました。

登場人物紹介

ミクの夫です。こんばんは!

ミクです。あなた、今日は何をやらかすのかしら?

「お父さん、ちょっと聞きたいんだけど」

夜の10時過ぎ。リビングのテーブルでビジネス書の伝記を広げ、ノートに「大富豪とラザロ」「ひがみ根性の克服」「心臓移植と神の恩寵」と真剣な顔でメモを走らせていた私に、妻が温かいほうじ茶を差し出しながら声をかけてきた。

「さっきから大金持ちのクリスチャンなんてって、呟いたりいや、月とスッポンだ!って頷いたり、一人でどんな葛藤と戦っているの?」

「ふふふ、妻よ。よくぞ聞いてくれた」

私はほうじ茶を一口すすり、深遠な眼差しで腕を組んだ。

「MLMビジネスの創始者リッチ・デヴォス氏の生き方について思索していたのだよ!かつての私はクリスチャン=つつましく目立たずに生きるものという勝手な固定観念があってね。長者番付に乗るほどの大富豪で、世界中を講演して回る彼を、自分のひがみ根性から素直に認められなかったのだよ」

「へぇ。自分のか細い固定観念で、世界的な成功者を勝手に評価してモヤモヤしてたわけね」

「うぐっ!まさにその通りなのだ!だが、今ならはっきり言える。彼のようにビジネスの成功を通じて世界中に貢献し、大手術に直面しても堂々と神様への信頼を語る素晴らしいクリスチャンもいる!成功と信仰は矛盾しないのだよ!」

私が熱っぽく語ると、妻はほうじ茶をすすりながら、じとーっとした目を向けた。

「なるほどねぇ。成功はクリスチャンを否定しないっていう気づきは素晴らしいわ。で、その月とスッポンのスッポン側(お父さん)は、彼の大規模な貢献と比べて今日どんな行動をとったのかしら?」

「えっ?」

「彼が森林保護活動なら、私は道端のゴミ拾いだ!ってノートに書いてあるけど、今日のお父さんはリビングの自分のゴミすら拾ってないじゃない」

「ぐ、ぐっ!それは思索に没頭するあまり!」

痛いところを突かれ、私は言葉に詰まる。

「偉大な大富豪の成功哲学に感心してひがみ根性を克服した!って満足する前に、まずは足元の小さな奉仕から始めなさいな。彼が世界中に報酬システムを作ったなら、我が家では使ったものを自ら元の場所に戻すシステムをお父さんが構築してちょうだい」

妻の容赦ないツッコミに、私は完全に降参した。

「御意。ただちにテーブルの上の本とノートを片付け、リビングのゴミ拾い活動をプロデュースしてまいります」

スケールの大きな成功者の足元にも及ばない自分に苦笑いしつつ、妻の愛ある「現実への呼び戻し」に感謝する私。
高尚な理念を語る前に、我が家という小さな現場で誠実に生きることこそが自分に与えられた役割だと噛み締めながら、私は静かに雑巾を手に取るのだった。

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