神様が見えない22|信仰・愛・希望・勇気・自由?

できる、できる 神様が見えない
できる、できる
はじめに(神様が見えない)

以前書いていたブログ「神様が見えない」からリメイクして転載いたしました。

登場人物紹介

ミクの夫です。こんばんは!

ミクです。あなた、今日は何をやらかすのかしら?

「お父さん、小学生の作文用紙みたいな筆跡でノートに(前進、そして前進)ってデカデカと書いて、何ひとりで気合入れてるの?」

休日の午後。リビングのテーブルで古びたメモ帳を広げ、真面目な顔でペンを走らせていた私に、ミクが温かいほうじ茶を出しながら話しかけてきた。

「ふふふ、妻よ。これは私の小学生時代の座右の銘なのだよ。重い文鎮に刻まれていた言葉なのだがね。今日は古今東西の偉人や聖書が残した格言について、深遠な黙想をしていたのだ」

「へぇ、格言ねぇ。例えばどんなの?」

「うむ!例えばパトリック・ヘンリーの過去の経験以外に未来を判断する方法を知らないという言葉や、ハックスレーの経験とは身に起こったことに対して何をするかだという言葉だ!経験と体験は違うのだよ!挫折したって、画家ウィスラーのようにシリコンが気体であったならと化学を落第したおかげで大成功することだってある!」

胸を張って講釈を垂れる私に、妻はほうじ茶を一口すすりながら、じとーっとした目を向けた。

「ふーん。過去の経験から学んで、身に起こったことに対して前進する、ねぇ。じゃあ、お父さんのその立派な経験という灯火は、先週の出来事に対してどう生かされているのかしら?」

「先週の出来事?」

嫌な予感がして、私の手がピタリと止まる。

「ほら、先週このDIY棚の組み立ては、過去の経験上、ネジを全部仮止めしてから締めるのが鉄則だ!って威風堂々と語っていたじゃない。で、最後に見事にパーツの順番を間違えて、全解体する羽目になったわよね」

「ぐっ!」

痛烈な一撃に、言葉が詰まる。

「あれは、試された後に欠陥が分かったのではない!チェスタートンの言う通り正しく組み立てるのが難しいと思われたので、正しく試されなかっただけなのだよ!」

「偉人の言葉で苦しい言い訳をしない!挫折から学ぶのはいいけど、毎回同じところで挫折してたらただの学習能力不足よ」

妻の容赦ないツッコミに、私は小さく咳払いをした。

「い、いやね!失敗してもできる、できると信じる絵本の機関車のようなポジティブさが大切なのだ!へブル人への手紙にもあるだろう?信仰は目に見えないものを確信させると!今は失敗に見えても、目に見えていない成功という結論がこの先にあるのだよ!」

「はいはい。で、その目に見えない素晴らしい棚は、いつになったらリビングで目に見える形になるのかしら?ジョン・ウェスレーもできる限りつくりなさいって言ってるんでしょう?」

「うぐっ!ま、まさにその通りで」

言葉を失った私に、妻はくすりと笑うと、私の肩をぽんと叩いた。

「大金持ちを妬む前に、神様から与えられた健康な身体と時間を感謝して使いなさい、って自分でもメモに書いてるじゃない。前進、そして前進、なんでしょう?だったら言葉だけじゃなくて、まずその散らかった木くずを掃除機で吸うことから前進してちょうだい」

「御意」

偉人たちの格言や聖書の教えに感動し、知的な満足感に浸っていた私だったが、妻の言う通り、感謝を忘れて足元の実行をおろそかにしていたのは他ならぬ私自身であった。

自分の未熟さに苦笑いしながら、私はノートを閉じ、掃除機を手にしてリビングの平和と完成形(目に見えない棚)に向かって、力強く一歩を踏み出すのだった。

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