神様が見えない18|著名人?

加藤一二三さんと藤井聡太さん 神様が見えない
加藤一二三さんと藤井聡太さん
はじめに(神様が見えない)

以前書いていたブログ「神様が見えない」からリメイクして転載いたしました。

登場人物紹介

ミクの夫です。こんばんは!

ミクです。あなた、今日は何をやらかすのかしら?

 「お父さん、ちょっと聞きたいんだけど」

夜の10時過ぎ。リビングのテーブルでノートパソコンを開き、古今東西の著名人リストを食い入るように見つめていた私に、妻が温かいほうじ茶を差し出しながら声をかけてきた。

「将棋の加藤一二三さんから、ウルトラマンの円谷英二さん、果ては麻生太郎さんに前川清さんまで。なんでそんなジャンルもバラバラな有名人の名前をずらりと並べて、一人で深く頷いているの?」

「ふふふ、妻よ。よくぞ聞いてくれた」

私はほうじ茶を一口すすり、自信満々に胸を張った。

「実はね、あまりテレビを見ない私が、各界の著名人を調べてみたら、なんとカトリックやクリスチャンの方がこんなにもいらっしゃったのだよ!お医者さんに実業家、作家、政治家、タレントまで。まさに神様の召命は十人十色。みんなそれぞれの場所で輝いているのだなと感動していたのだ!」

私が熱っぽく語ると、妻は呆れ顔でクスッと笑った。

「へぇ、確かに凄いわねぇ。曾野綾子さんや遠藤周作さんだけじゃなくて、クロネコヤマトの小倉昌男さんや、つるの剛士さんまでいらっしゃるのね。で?」

「で、とは?」

「それだけ各界の素晴らしいリーダーたちが、それぞれの置かれた場所で咲いて成果を出しているのを見て、お父さんは一体何を学んだのかしら?」

「うぐっ!」

妻の鋭い一撃に、私の言葉が詰まる。

「い、いやね!置かれた場所で咲きなさいといえば、シスター渡辺和子様の名著だ!人は誰しも、神様から与えられた環境で精一杯の努力を傾けるべきなのだよ!」

「そうよね。じゃあ、お父さんが今置かれている場所はどこかしら?」

妻がそう言ってチラリと視線を送ったのは、リビングの隅に置き去りにされた掃除用具と、私が「後で一気に片付けるから!」と言い張っていた書類の山だった。

「ひふみんのように純朴に盤面(目の前のゴミ)に向き合うでもなく、円谷さんのように新しい工夫(効率的な片付け)を生み出すでもなく、前川清さんのように長崎は今日も雨だったならぬリビングは今日も散らかっていたって歌ってる場合じゃないでしょ?」

「な、なぜそれを!カラオケで歌ったばかりなのに!」

「顔に出ていたわよ。麻生太郎さんみたいにひょうひょうと答弁でかわそうとしてもダメ。政治家や作家の知恵を感心して眺める前に、まず我が家の平民宰相として、目の前の落ちた木くずを拾うという歴史的事業を成し遂げて頂戴」

言葉を失った私は、そっと立ち上がり、妻に向かって小さく首を振った。

「御意。ただちに散らかり放題の領域に赴き、正義と公正(徹底的な掃除)を行使してまいります」

どんなに偉大な歴史的人物も、足元の小さな一歩から始まったはずだ。妻の容赦ないツッコミに苦笑いしながら、私は我が家という小さな「召命の場」で輝くべく、静かにホウキを手に取るのだった。

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