第41話 ミクの新しい配置

悩んでもいい第41話 サンタ第2工房
悩んでもいい第41話
はじめに(サンタ第2工房)

この物語は、私が大好きな木のおもちゃ屋さんをモチーフにして作成しました。主人公のミクさんは、妹の孫の名前からつけています。お気に入りに追加していただけたらうれしいです。

登場人物紹介

職人見習のタダシです。

サンタ第2工房のミクです。

アパートを引き払って数日後。
サンタ第2工房の朝は、いつもと同じ木の香りがしていた。
けれどタダシの胸の奥には、
昨日までとは違うざわつきが静かに残っていた。

ミクさんは前に進んでいる。
身軽になって、新しい生活を始めようとしている。
その変化が嬉しい反面、
どこか少しだけ置いていかれるような気もしていた。

新しい配置をしていた

扉を開けると、
ミクさんは棚の前で、商品を並べ替えていた。

「こんにちは、タダシさん」

その声は、昨日よりもさらに軽やかだった。

タダシは思わず言った。

「ミクさん
 棚の配置、変えたんですね」

ミクさんは、木の鳥を棚の上に置きながら言った。

「はい。
 新しい生活を始めたので
 工房も少し変えたくて」

棚には、
これからの私とミクさんが呼んだ木の鳥が飾られていた。
その下には、初期の作品や試作品が並び、
まるでミクさんの歴史の展示棚のようだった。

タダシは胸が熱くなった。

(ミクさん
 あなたは本当に、前に進む人なんだ)

ミクさんの新しい生活は、工房の外にも広がっていた

ミクさんは、作業台の前に座りながら言った。

「タダシさん。
 実は新しい生活、もうひとつ始めたんです」

タダシは少し身を乗り出した。

「もうひとつですか?」

ミクさんは、少し照れたように笑った。

「はい。
 家の中も、断捨離を始めました。
 家具を減らして
 部屋を広くして
 生活を軽くしたいんです」

タダシは驚いた。

「工房だけじゃなくて
 家の中まで?」

ミクさんはうなずいた。

「はい。
 あのアパートを引き払ったら
 なんだか、家の中も軽くしたくなって」

その言い方は、
まるで人生の大掃除をしているようだった。

タダシの戸惑い

タダシは、胸の奥が少しざわついた。

(ミクさんは
 どんどん前に進んでいく。
 俺は、そのスピードについていけるんだろうか)

ミクさんは、タダシの表情に気づいたのか、
そっと言った。

「タダシさん
 戸惑っていますか?」

タダシは少しだけ目を伏せた。

「はい。
 ミクさんが変わっていくのが、
 嬉しい反面
 少しだけ、さみしいです」

ミクさんは、ゆっくり微笑んだ。

「タダシさん。
 変わることは、悪いことではありませんよ。
 でも
 変わっても、私は私です」

タダシは息をのんだ。

ミクさんは続けた。

「そして
 タダシさんは、タダシさんのままでいてください。
 それが、私には一番ありがたいんです」

その言葉は、
工房の光よりもあたたかかった。

ミクさんが見せた新しい一歩

棚の整理が終わると、
ミクさんはタダシのほうを向いた。

「タダシさん。
 これから、もっと身軽に生きます。
 でも
 タダシさんには、これまでと同じように
 そばにいていただけたら嬉しいです」

タダシは胸が熱くなった。

「はい。
 もちろんです」

ミクさんは、少しだけ照れたように笑った。

「では
 新しい生活の第二歩、見守ってくださいね」

その笑顔は、
工房の木の香りよりもあたたかかった。

おしまいに(サンタ第2工房)

タダシです。読んでいただいて、ありがとうございます!

ミクです。今日も一日お疲れ様でした。

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